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ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part8

PM4:50 シュヴァレスク王城

「確かにおばば様の情報通り王都周辺の昆虫系の魔物の動きが活発だった・・・・・・明日はまずこれを片付けないといけないかな・・・・・・」

 見張りの一瞬の隙を突いて城内に戻ってきたミントはそう言いながら自分の部屋に向かうと、一冊のノートを取り出し確認を始めた。そのノートはこれまで遭遇した魔物の情報が詳細に書かれているミントが自分で書き上げた魔物図鑑であり、ペラペラと昆虫系の魔物のページを開くとデスサイスのページの前で手を止めた。

「デスサイス・・・・・・狂いの羽音を駆使することで相手の動きを制限させるだけでなくその波長は他の昆虫系の魔物を統率させることも可能・・・・・・両手についた鋭い刃による攻撃は素早く威力も鮮烈・・・・・・」

 自筆の分析データに目を通しつつ対策を考えていたところ、誰かが部屋のドアをノックする音が聞こえてきた

「ラファエルですね・・・・・・入ってくださって構いませんよ」

 ミントはノックの音だけで訪問者がラファエルであると判断すると中へと招き入れた。

「失礼します、姫様。本日の活動記録をまとめておきました、姫様にも目を通していただこうと思いまして・・・・・・」 

 ミントの判断通り部屋に入ってきたラファエルはミントの前までやってくると持ってきていた書類の束を見せるとそう言った。

「ご苦労様。ねぇラファエル、明日なんだけどね・・・・・・」

「はっ、王都でデスサイスの討伐に向かわれるのですね?」

 明日の予定を言おうとしたミントの言葉を遮るように言ったラファエルの言葉を聞いてミントは少し驚いたような顔をした。

「分かっていたのですか・・・・・・?」

「ええ、姫様を捜索している最中にそのような被害の話を聞きましたので・・・・・・姫様なら間違いなく討伐に向かわれるのではと思っていましたので」

「ええ・・・・・・放っておくわけにもいきませんので・・・・・・ご協力お願いできますか・・・・・・?」

「お任せ下さい・・・・・・それでは姫様、失礼します・・・・・・」

 ラファエルは最後に恭しく礼をするとミントの部屋をあとにしていった。そしてミントはラファエルが出て行ったあとの部屋でラファエルが持込んだ活動記録の書類を確認していた。

「・・・・・・本当に丁寧に書いてくれて私も助かるんですよね・・・・・・」

 ラファエルの活動記録には部下たちの様子から倒した魔物の種類、数などが事細かに書かれてあった。勿論ラファエルが1人で倒したあのヒルシュケーファーについてもどのようにして倒したかなどがまとめられており、十分魔物図鑑に記載できるほどの情報量であった。

「ふむふむ・・・・・・こういう戦い方もできるんですね・・・・・・」

 魔物図鑑に新しく書込みつつ報告書を読み続けていくミント、やがて報告書の最後のページをめくり内容を確認したところでミントの手が突然止まった。

「!!え・・・・・・こ・・・・・・これって・・・・・・!!ラファエル・・・・・・」

 最後に書かれていた内容、それはミントにとって、そしてこの国にとって非常に重要なことであった。



 翌日 AM10:00 シュヴァレスク王都東部 農耕地域

「・・・・・・流石ですねラファエル」

「メンサ殿も・・・・・・流石の腕前ですね・・・・・・」

 翌日予定通りにミントはデスサイズ討伐に向かい、そこにラファエルも他の親衛隊の者は誰も引き連れず単騎で現れ2人は協力しデスサイスを撃破したのだった。

「今日はこれで仕事はおしまいです・・・・・・ありがとうございました」

「では私はこれで・・・・・・姫様を探さなければなりませんので・・・・・・」

「・・・・・・その必要はありませんよね?」

「・・・・・・確かにそうですね・・・・・・では帰りましょうか、姫様」

「はい・・・・・・」

 その後昼前になってシュヴァレスク王城に2人は仲良く帰ってきたという。そしてその日からミントが魔物討伐の仕事をした帰りには必ずラファエルがついて帰ってくるようになり、そして1月後、国中が祝福をする中2人の挙式が執り行われたのであった。
 
 グランヴェル大陸シュヴァレスク王国、ここは今日も2人の戦い手の活躍によって平和が守られている・・・・・・


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ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part7

ミング熱帯雨林区 PM2:10

「ラファエルはどこでしょうか……」

 他の親衛隊員と別れたミントは一人上空からラファエルを探していた。しかし上空からでは地上の様子は鬱蒼と生い茂る木々に阻まれ確認することはできないし、だからといって地上から探すにはこのミング熱帯雨林区はあまりにも広すぎる。ミントは仕方なくところどころできている木々の隙間を中心にラファエルがいないか確認をしていた。

「ここに先回りをしてくることは見越していましたが……やはりそうそう上手くは会えませんよね……」

 そう言いつつ木々の隙間を丁寧に見ていたその時に、エンリュケが声を出した

「ご主人様!あそこを見てください!」

「何?エンリュケ……?」

 エンリュケが頭を動かし示した先にはやはり木々の隙間があり地上の様子がはっきりと映っていた。見たところ特に変わりはないように見えたがエンリュケはあることに気づいていた。

「あそこに倒れている木……自然に倒れたものとは違います……まるでへし折られたかのような倒れ方をしています……」

「……私にはよく分からないけど……」

 木々の隙間の境目付近に立っていた木が根こぎになっているようであった。そうしてその辺りに注意が向いたその時に

「ご主人様、あれ……!!」

「あれは……!?」

 視線をむけていたその場には先ほどまでミントが相手にしていたものと同じものと思われるクワガタがいた。さらに離れた所には人影のようなものも見える。

「……もしかしてラファエル!?……すぐに援護しないと、エンリュケ!!」

「お任せ下さい!!」

 ミントはすぐに木々の隙間へと降り立っていった。


同所同刻 ラファエル

「気長にやるしかない……か」

 ラファエルはそう言いつつヒルシュケーファーの攻撃を避け続けていた。常に木々を背にし続けるような形で攻撃を誘い上手くかわしていき、たまにその攻撃の衝撃で木々が倒れていくことを続けて20分、戦闘開始から40分が経過していたがラファエルおよびヒルシュケーファー双方ともにまだまだ体力的には十分なようであった。

「もう少しで狙えそうだな……」

 ラファエルもただ闇雲に攻撃を避け木を倒させているのではないようだ。時折自ら剣で傷をつけ倒れる方向を調整した木もあり広場にも所々木々が重なり合うようになっている個所がある。ラファエルは着々と反撃の準備を始めていたようである。

「……後は……この木を……」

 そしてついに仕上げの作業に入ったらしく自ら木を何度も切りつけていく。そして

「食らうがいい、この一撃を!!」

その言葉と同時にラファエルは木を切り倒した。倒した木は突進してくるヒルシュケーファーに一直線に倒れていった。そのことに気付いたヒルシュケーファーは突進をやめ自慢の大顎を持ち上げ倒れてくる木を切断しようとする。

「隙を見せたな!!」

 木は見事に切断された。しかしラファエルの目的は動きを止めることにあった。ヒルシュケーファーの体の下には倒木がありそれに繋がるように上手く倒木で“てこ”の装置が作られていた。根元側の倒れる衝撃でてこが起動し、ヒルシュケーファー真下にあった倒木が跳ね上がった。その衝撃で無防備な腹側を強打され、さらに少し上体を上げていたことからバランスが取れなくなりひっくり返ってしまった。ラファエルの緻密な計算で作られたてこ装置による攻撃は完璧ともいえる結果を作り出した。

「もらった!!」

 さらに倒木を足場にヒルシュケーフアーの腹部に登り怒涛の連撃を加えた。


「すごい……あれ全部計算して……」

 上空から接近していたミントはラファエルの攻撃の一部始終を見ていた。全てが計算しつくされていたかのような攻撃に圧倒されたらしく茫然とした表情のまましばらく上空でただ旋回を続けるだけであったが、

「ご主人様……どうしますか?」

 とエンリュケに声をかけられ我に戻った。

「このままラファエルに任せましょう。そしたら行きましょうか……」

 そしてこう言ってミントは完全にトドメを刺すまでラファエルの様子を上空から見守ることにしたのであった。


同所 PM2:20

「……これで……決まったか……?」

 最後に木を倒して叩きつけヒルシュケーファーの息の根を止めた。流石のラファエルも怒涛の攻撃ラッシュで疲れたらしくかなり息が上がっていた。

「……こいつを一人で片づけられた……のか」

 改めて倒した敵を見る。普通の生活をしていればまず出会うことのないであろうサイズのクワガタ、つやこそ失われていたが立派な黒の甲殻とまだまだ鋭さを保っているであろう勇壮さと威圧感を与える大顎、こんな強敵を自分一人で倒せたことにラファエルはまだ実感がわいていなかった。

「……お見事……です」

「貴女は姫さ……っと、淡緑の戦姫メンサ・ピペリータ殿でしたか……」

 そこにミントが降りてきた。ラファエルはその姿を見ると恭しくお辞儀をした。

「メンサ殿、その様子は見ておられたのですか?」

「……別に“姫様”で構いませんよ……はい、すみません……援護に入らなくて……」

「では姫様、お気になさらないでください。おそらくはこいつと同レベルの魔物を相手になさっておられたのででしょう?姫様が約束の時間に遅れるようなことは一度たりともありませんから……考えられることはそれくらいですよ」

「……流石ね、ラファエル。そこまで冴えているのですから今日もああなると分かっていて私を見逃してくれたのですね?」

「……いえ、あれは……」

「……本当同一人物なのかしら……」

 ミントは呆れてみせた。先ほどの親衛隊の様子といいこのラファエルの反応といい正直自分の安全を守ってくれる親衛隊としていいのか疑問に思えてきている。

「・・・・・・まぁいいわ、私は王都に戻ってもう少しやることがあるから・・・・・・ラファエルももう帰っていいわ」

「分かりました、それでは姫様、失礼いたします・・・・・・」

 最後にラファエルはまた恭しくお辞儀をすると、近くの茂みに待たせていた馬にまたがり王都に向けて帰っていった。

「・・・・・・じゃあ私も行きますか・・・・・・エンリュケ!!」

 ミントも森に待たせていたエンリュケにまたがった。

「・・・・・・おばば様からの情報を確かめたいから・・・・・・王都の東部まで行って」

「かしこまりました!」

 ミントはエンリュケにそう指示を出しその場を後にした。



ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part6

ミング熱帯雨林区 PM2:00

「・・・・・・ふぅ・・・・・・これでおしまいね」

 ミントはそう言うと剣をしまった。目の前にはラファエルが戦っているクワガタと全く同じものがひっくり返っていた。

「すごい・・・・・・」

 その様子を親衛隊の面々は木々の陰からこっそりと覗いていたのであった。

ミング熱帯雨林区 同地点 PM1:40

 話は遡ること20分前、ラファエルと別れた親衛隊の面々は足早にここから立ち去ろうとしていた。

「急げばもう少しでここを抜けられそうだ、皆の者、急ぐぞ!」

 そこだけ木が生えてなくぽっかりと隙間ができていて、空から暖かな日の光が射し込む広場に来ていた。木々は風で揺れざわついている。一方向に立つ木だけ、不自然なほどに。

「・・・・・・何かいるぞ・・・・・・後退しろ!」

 副隊長代理がそう号令をかけるのと揺れている木々の奥から木々をなぎ倒しつつクワガタが飛び出してくるのはほぼ同時であった。

「ひぃぃぃぃっ・・・・・・で・・・・・・でたぁぁぁ!!」

「・・・・・・・・・・・・」

 一部の親衛隊員はそれを見ただけで慌てふためきだした。甲虫系が平気な残りの親衛隊員もあまりの大きさに言葉がでない。一方のクワガタは親衛隊員の姿を見つけるとその巨大な体で突進してきた。

「うわぁぁぁぁ!!こっちくるなぁぁぁぁ!!」

 一部のパニック状態の親衛隊員はただただ逃げ惑うばかりで、もはや副隊長代理が号令をかけても収拾がつかなくなってしまった。

「・・・・・・!!また私の親衛隊が襲われている・・・・・・!!」

 そんな時にミントはやってきていた。空から今回のターゲットを探していた彼女はこいつが今回のターゲットと認定して準備を始めた。今回もいつも使っている愛用の剣にボウガンを用意したが、しかしボウガンの矢が普段使っている通常の矢とは大きさがかなり違っていた。

「エンリュケ、高度を少し下げて・・・・・・いいわ!」

 動くクワガタの上からボウガンを放った。放った弾は甲殻に上手く刺さり、そして爆発を起こした。甲殻に軽く傷をつける程度の威力だったが、クワガタの動きを止めて注意を引かせるには十分であった。

「な・・・・・・何だ・・・・・・?」

 そしてその爆発は親衛隊員の注意も引くことになった。クワガタの背中に立ち上がった煙は上空に広がり、ミントの姿を隠していた。その間にミントは地上へと降り立ち、エンリュケは森の中へと飛び去っていた。そして煙が晴れた時にはミントは地上でクワガタと対峙をしていた。

「・・・・・・!!あの方は・・・・・・!!」

「メンサ・ピペリータ・・・・・・魔界種ヒルシュケーファー討伐に参上しました・・・・・・!」

 ミントの姿を見た(でも本物のミントだとは思っていないようだ)親衛隊員はようやく落ち着きを取り戻し、副隊長代理の下に集まりだしてきた。

「私が片付けますので親衛隊の皆さんは下がっていて下さいね」

 ミントはそう言うと再びボウガンを構えた。相手が固い甲殻を持つ相手だということを見て徹甲弾を装填しており、また刺さった後に爆発するように設計されているためミントが使うボウガンの中ではトップクラスの攻撃力を誇っている。よって今回の主力武器はこれのようだ。クワガタの突進を軽々と避けて背後に回りこみ、的確に背後を撃ち爆破を続けていく。強固な甲殻を持つこのクワガタでも徹甲弾の力でだいぶダメージを受けてきているようだ。

「・・・・・・そろそろ弾切れね・・・・・・後は剣にしか頼れない・・・・・・でもこれくらいダメージを与えておけば問題はなさそうね」

 クワガタの挟み込む攻撃を上手くかわしつつ今度は剣で攻撃するが、徹甲弾で攻撃した部分まではなかなか剣が届かない。その後も何度か攻撃を試みるが、傷までは届かなかった。

「ちょっと傷をつける位置が高すぎたかな・・・・・・どうしよう・・・・・・」

 攻撃を避けつつミントは考え始めた。そしてラファエルと同じように周りに立っている木に注目をする。

「・・・・・・ちょっと危ない技ですが・・・・・・これで行きましょう!」

 ミントは指にはめた指輪を掲げた。茂みの中からエンリュケが姿を現す。

「ルーシャ!低空飛行を続けられる?」

 ミントのその問いにエンリュケはしっかりうなずいた。ミントを乗せたエンリュケはクワガタの高さの少し上の辺りの高さをキープして飛んでいる。

「ペガサス・・・・・・!?あの方はペガサス使いか・・・・・・しかしあの高さを保って飛ばせるペガサスの能力とそれを指示する主・・・・・・まるで白羽騎士団時代のルフナ様を見ているようだ・・・・・・」

 副隊長代理もそう感心する腕前でペガサスを操るミントは簡単に背後を取ると、傷をつけた部分を狙って剣で攻撃をしていった。そして連続して攻撃していくとやがてクワガタの動きが明らかに鈍ってきた。

「そろそろ止めを刺しましょう・・・・・・ルーシャ、高度を上げて!!」

 ミントはそう言ってエンリュケの高度を上げた。すると散々攻撃され怒り状態になっていたのかクワガタは傷だらけの羽を広げて追いかけてきた。

「行きますよ・・・・・・合図を出したらお願いね・・・・・・!」

 エンリュケがしっかりとうなずいたことを確認するとその場で旋回をさせた。そこに大顎を広げたクワガタが突っ込んでくる。ミントはボウガンに最後の徹甲弾を装填して機会をうかがっている。

「・・・・・・今よ!!」

 そしてミントがそう声をかけるとエンリュケは猛々しい声を放つとその場でミントを乗せたまま宙返りをするとかなりのスピードでクワガタに向かっていく。その軌道はクワガタの真下を取ろうというものだった。そしてミントはクワガタの真下を通り抜ける瞬間に甲殻で守られていない腹に最後の徹甲弾を撃ち込んだ。弾が炸裂するとクワガタは腹を上にして完全に力尽きたように落下を始めた。ミントはさらに落下するクワガタの腹に飛び乗り何度も斬りつけた。そして地面に落ちる少し前にまたエンリュケに飛び乗ると、クワガタはそのまま地面に叩きつけられ完全に絶命した。その隣にそっと降り立つと

「・・・・・・ふぅ・・・・・・これでおしまいね」

 と言い剣をしまう冒頭の展開となったのであった。

「いや・・・・・・助かりました・・・・・・」

 副隊長代理はそうミントにお礼を言った。ミントもご無事で何よりと声をかけようとしたが、そこに副隊長のラファエルの姿が無かったことに気付いた。

「いえいえ・・・・・・ところでいつもの方はいないようですが・・・・・・」

「ラファエル様はいつものように姫様を捜しておられます」

 副隊長代理はまだ目の前の人物が捜している姫様であることに気付いてないようだ。

「そうですか・・・・・・ってあなたたちは何をしているのですか?」

「えっと・・・・・・・・・・・・」

 ミントの問いに副隊長は言葉に詰まってしまった。姫様を捜すという目的を忘れて帰ろうとしていたなんてことを堂々と言うわけにはいかなかった。

(・・・・・・ちょっと残念です・・・・・・)

 ミントはそう思いつつエンリュケにまたがった。ラファエルを捜しに行き、今日の仕事が終わったことを報告しなければならなかったのだ。

「私はそろそろ次の場へと行きます。ではみなさん、姫様が見つかるといいですね、では・・・・・・」

 そう言ってミントはその場をあとにした。




 

ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part5

ミング熱帯雨林区 PM1:30

「もうこんな時間か・・・・・・姫様ももうここに着いておられる時間帯・・・・・・」

「ラファエル様ぁ・・・・・・もう帰りましょうよぉ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 ミング熱帯雨林区に入って早1時間が経った。この間に親衛隊はかなりの数の昆虫系生物との戦闘をしておりその士気は完全に下がりきっていた。もはや姫様捜しをする気になっているのはラファエルくらいである。

「ラファエル様ぁ・・・・・・姫様も虫が苦手なようなのですからこんなとこには来ませんよぉ・・・・・・もう帰りましょうよぉ・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 流石のラファエルもうんざりという顔をしている。するとそれを見かねたラファエルの一番信頼する部下がラファエルに近づいてきた。

「・・・・・・ラファエル様、これ以上はラファエル様の士気に関わるでしょう。我々はここで帰ろうと思います」

「・・・・・・」

「ラファエル様と共に職務を全うできないのは親衛隊員としてラファエル様にも姫様にも大変申し訳なく思います・・・・・・ですが・・・・・・」

「・・・・・・すまないな、お前にはいつも苦労をかける」

「・・・・・・残りの親衛隊を私が率いて撤収することお許しいただけますか?」

「・・・・・・ああ」

 ラファエルは親衛隊員の要請を受け入れた、そして

「今から親衛隊の指揮権をこいつに委譲する」

 という宣言をし、その後その親衛隊員から

「これよりシュヴァレスク城に帰還する。帰りたいものはついて来い!」

 という指示が飛んだ。続々とその親衛隊員のもとに集まっていく

「・・・・・・では隊長、失礼します・・・・・・お気をつけて・・・・・・」

「・・・・・・ああ、お前もな」

 親衛隊員はそう短く声をかけると残りの親衛隊員を率いて帰っていった。後にはラファエルだけが残される

「・・・・・・一人・・・・・・か、だが一人でも姫様を捜してみせる・・・・・・!」

 ラファエルはさらに森の奥へと足を踏み入れようとした。そのとき先ほどまで聞こえていた風で木々の揺れる音とは違う、虫の羽音のようなものが聞こえた。しかもかなり大きい音である。先ほどまで親衛隊員が多くいたために気付かなかったのか、それともラファエルが一人になったのを見計らっていたか、音を立てている主は確実にこちらに近づいてきている。

「・・・・・・姫様がターゲットにしている魔物だろうか・・・・・・いいだろう、シュヴァレスク王国王女親衛隊副隊長ラファエル!私が相手になるぞ・・・・・・!!」

 ラファエルは大音声で名乗りを上げた、するとそれを聞きつけたかのようにラファエルの前に羽音の主が姿を現した。漆黒の鎧のような立派な甲殻にいかにも鋭そうで形のいい大顎を持っているクワガタムシであった。しかしそのサイズは世間一般で見られるクワガタムシとは大きさが明らかに違っていた。自慢の大顎だけでラファエルの体の2倍以上はあった。全長でいけば10メートルはくだらないだろう。そんなクワガタムシがラファエルの前に土煙を上げながら降り立った。

「・・・・・・ちょっと待ってくれ・・・・・・なんだよこの大きさは・・・・・・!!」

 ラファエルはその大きさに完全に圧倒されていた。それでも取りあえず手始めに構えていた剣で攻撃してみたが全く効いている様子が無い。完全に甲殻に阻まれてしまっているようだ。

「・・・・・・どうやって倒せと言うんだ・・・・・・こんな硬い敵武器攻撃では・・・・・・」

 そういう間にクワガタは突進してきた。上手く足の間を通り抜けて逃げることができ、クワガタはラファエルの後ろに立っていた木に激突しその木を楽々と押し倒した。根まで掘り上がってしまうほどの圧倒的力であった。

「パワーは見ての通り圧倒的・・・・・・素早さもそこそこあるがその図体の大きさから小回りは利かないようだな・・・・・・攻撃は当たらずに済みそうだがこちらの攻撃は通らない・・・・・・消耗戦になれば体力差で圧倒的に不利・・・・・・どうしたものか・・・・・・」

 ラファエルは体勢を整えつつ冷静に分析をした。するとクワガタは今度は自慢の大顎で挟み込んできた。それをしゃがみ、その後横に転がって回避した。クワガタの攻撃はどれも見るからに当たれば即死級である。とにかくそれらを集中して避け続ければ活路が見出せるかもしれない、そう思ったラファエルはただひたすらに攻撃の回避に専念していった。


ミング熱帯雨林区 PM1:50


「・・・・・・・・・・・・おかしい・・・・・・姫様が約束の時間を30分過ぎても現れないとは・・・・・・」

 ラファエルがクワガタと戦闘を始めて20分が経った。日頃から鍛錬を欠かさず、また姫様捜しに出撃しているためかラファエルのスタミナはかなりのものであり、まだまだ余裕そうな顔をしていた。そしてラファエルは予告どおりの時間に来ないミントの身を案じ始める余裕もできたようだ。確かにミントが予告していた時間はPM1:20であり、もう既にその時間から30分が経っている。これまで一度たりとも予告の時間に遅れてミントがやってきたことは無かった。

「姫様の身に何かあったのか・・・・・・それとも・・・・・・」

 ラファエルはクワガタの前足で引っかく攻撃をうまく避けつつ考えを巡らせていた。ラファエルは何度もミントの戦いを見てきているので彼女の実力は大変よく分かっているつもりである。彼女ならこのクワガタ相手でも1人で片付けてしまえるだろう、それに万一そうだったとしてもミントが魔物にやられたとは思いたくない。そうだとすれば・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・こいつ並みの魔物が・・・・・・もう1体いるとでも!?」

 ラファエルはその結論に至った。こいつは本来ミントが倒す予定の魔物ではなくまた新しい魔物であり、ミントは既にこれと同じくらいの敵と戦っている。ということは・・・・・・

「・・・・・・これは私が倒すしかないのか・・・・・・」

 改めて巨大なクワガタと向かい合うラファエル。結局対策は見えてこなかったが、甲殻は硬く、素早いが小回りは利かない、そして攻撃は当たったら死ぬ、といったことは分かった。

「・・・・・・この辺の木とかは使えないだろうか・・・・・・」

 ラファエルは周囲を見回すと先ほどからクワガタが倒し続けている木が目に入った。ラファエルはクワガタの攻撃を避け続けつつその活用法を考えていった。

「・・・・・・!!よし、この手を試してみるか・・・・・・」

 やがてラファエルは何かを思いついたようで行動に移った。





どうも、年内最終更新(予定)のラヴィスです。2012年ももうおしまいです・・・・・・

いやぁ、親がパソコンをよく使うので思うように更新ができないのですよ・・・・・・その結果やらなければいけない企画等々がどんどんたまっていく始末・・・・・・

・クリスマス&年末年始合同特別企画

・失踪日記後日談編の完結

・座談会編2本

・各種設定等

こんな感じにたまっております・・・・・・はい・・・・・・

因みに私は別枠で年末特別企画を進行中です。何をしているのかというと

ポケモンHG バトルステージ特別編

・・・・・・というものですよ。今年は来年巳年ということもありましてお題は“アーボ”です。因みに目標としては

ケイト(50人)を抜くことです

まぁキャタピーで50人抜きをした私にとってアーボで50人抜きをするくらい問題ないと思うのですが・・・・・・準備が大変ですね。あ、因みにこれ以外でも様々なポケモンでバトルステージに挑戦してみたりしますのでリクエストとかあったら適当にどうぞ・・・・・・(因みにトランセルは41人で挫折、コイキングは46人で挫折等々無理なこともありますし・・・・・・ソーナンスとかメタモンとかはちょっと無理がありますのでそういうの抜きでお願いしますね・・・・・・)

それでは皆さん、来年もよろしくお願いしますね!

ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part4

王都東部 PM0:30


 王都に戻ってきたミントはたくさんの野菜が作られている広大な畑の近くに降り立ち、近くにあった一軒の家の中へと入って行った。

「おばば様、いらっしゃいますか~」

「おお!!これはこれはミント様。さあさ、お上がり下され……」

 この家の家主は見た感じ80を過ぎた老婆であった。ミントの突然の来訪にも全く驚くことなく快く中へと通してくれた。

「そろそろ来て下さる頃だと思って御馳走用意してたんじゃ。ささ、遠慮なく食べて下せぇ……」

「ほんとたびたびすみません……ではいただきます!」

 ミントの前には玄米ご飯、豆腐のハンバーグ、ホウレンソウのおひたし、そして味噌汁とどう見ても王族の食事とは思えない質素なものが並んでいた。しかしそれをミントはおいしそうに、そして嬉しそうに食べている。

「おばば様の作った豆腐ハンバーグは本当においしい……♪」

「ふぇっふぇっふぇっ……ミント様が一番おいしそうに食べてくれるものだからのぅ、こちらも作り甲斐があるってものじゃ」

 ミントが今食べているこれらの料理はすべてこの老婆のお手製であり、食材のほとんどは外の畑で自分で育てたものである。ミントがおばば様と言って慕うこの老婆は実はここシュヴァレスク王国内でも非常に有名な農家であり、シュヴァレスクの宮廷料理人もその品質の良さを好み直接買い付けに来るくらいである。
 宮廷での食事に老婆の作った作物が使われていると知ったミントが直接会ってみたいと思い立ち寄ろうとしたところ、丁度畑を荒らしている魔物と遭遇し、それを追い払ったお礼として昼食を御馳走になって以降、その味が気に入ったミントが足繁く通うようになったのだった。最初はこの老婆もミントの突然の来訪に大変驚いた様子であったが今ではまるで自分の孫のように接するようになり、“ミント様が女王様になってもまだまだ元気に農作業を続ける”と意気込み、ますます農作業に精を出すようになっていたのだった。

「御馳走様でした。今日もありがとうございます」

「気にしなくていいんじゃよ。……ああそうだ、この前街で聞いたことなんじゃが……王都のあちこちで虫がたくさん出てきてるとかいう話があったんじゃが……」

「虫……?農作物を食い荒らしたりする害虫じゃなくて……?」

「その辺はよく分らんのじゃが……街の人が言うことだから……」

 そしてミントはただ昼食を御馳走になるためにここに来たわけではない。この老婆は毎朝王都の中心部まで作ったものを売りに来ているため、客との会話から国内、時には国外の情報を仕入れることができるのだ。ミントはこの情報をもとにして怪しい場所の調査や魔物の撃破などを行っている。今日撃破した魔物もこの老婆が仕入れた情報がもとになっていた。

「……デスサイスを警戒しないといけないかもしれないわ。おばば様も赤っぽい大きなカマキリには気をつけてくださいね……」

 ミントの過去の経験と父王から見せてもらった魔物被害の報告書からだいたいの原因は分かったようだ。今回の老婆の情報でこの王都周辺にデスサイスというカマキリ状の魔物が潜んでいることを突き止めた。

「おばば様、情報ありがとうございました。そろそろ私行きますね……」

「ミント様も気をつけて下され……」

 これは早急に手を打たないと一般市民に危害が及ぶ可能性がある。そう判断したミントはこの後の仕事を手早く終わらせ、その後この件に関して調査をすることを決めた。ミントは老婆に丁寧にお礼を言い外に出ると、家の外で老婆が作ったニンジンをおいしそうにかじっていたエンリュケにまたがりすぐに王国領南東部のミング熱帯雨林区へと向かった。


ミング熱帯雨林区 同時刻


「みんな、大丈夫か……?」

「我々は大丈夫ですが……馬が少々……」

 その頃副隊長ラファエル率いる王女親衛隊の面々は既にミング熱帯雨林区の入り口付近に着いていた。しかし途中の山脈地帯で馬の方はだいぶ参ってしまっているようだ。もちろん親衛隊員自身もこの蒸し暑い環境にはあまり慣れていないようで、立ち振る舞いには出ていないが顔にはやはり疲労の色が現れていた。

「……馬を少し休ませよう。ついでに我々も昼食にしようか」

「はっ!」

 親衛隊員は馬から降り、鬱蒼と茂る木々の合間に腰を下ろした。昼間であるがやや薄暗く、じめじめとしたあまり居心地のいいところではなかったが親衛隊員はいつものようにゆっくりと体を休ませた。

「しかし隊長、今回の相手は何者なのでしょうか……」

「熱帯雨林区なんだから……植物系や昆虫系ではないのか?」

「……正直虫はダメなんですよね……」

「姫様を守るためには苦手だとか言ってられないぞ」

「甲虫系だったらいいかもしれませんが……カマキリとかクモが相手だったら……うぅぅ……想像しただけで震えが止まりません……」

 ただラファエルは今回のこの出撃に不安を感じている部分があった。山間部に森林地形と馬には不利な環境、さらには視界が悪いという点もそうであったが、“戦う相手”にも問題があった。親衛隊員の中には情けない話虫が大の苦手だという者が少なくなかったのだ。密林地帯だということを考えれば昆虫系の魔物がターゲットもしくは途中で出てくることが考えられるので、親衛隊員の間ではいまひとつ士気が上がりきっていなかった。これが悪い方向に行くのではないかとラファエルは考えていたのだった。

「さ、馬ももう大丈夫そうだ。姫様がこちらの方に来るのではないかという情報がある、それを信じて姫様を探しに行くぞ……!!」

「はっ!!」

 そんな不安を抱えたままラファエルは親衛隊員に号令をかけ、熱帯雨林の奥へと進んでいった。




どうも、ラヴィスです。先週木曜日は金曜日課で農場実習だったために疲れてて更新できませんでした……
よかった~、ほぼ毎週更新って言っておいて

まま、それはさておき……これから毎週のようにレポート課題が出てるもので忙しいんですよね……でも月曜の更新は続けていきますよ!!
あと用語集とかの細かい更新も随時行っていますので確認していって下さいね……?そろそろフィアの紹介を書こうと思っていますから……

それではまた次回の更新をお待ちください……


プロフィール

ラヴィス

Author:ラヴィス
パソコン使えないくせにブログに手を出した愚か者。
……温かい目で見てもらえるとうれしいです。

毎週月曜に大小の違いはあれど更新中です。

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