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ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter5~

「……報告は以上になります」

「御苦労様です……」

「……あの悪ガキの仕業だったか……」

「……封印から解き放たれていたわけですね……」

 魔界宮殿の玉座の間にいたベルガザスに魔界の部隊から報告が届いていた。“魔界十二使徒ファラが存命、神界勢力に加担”という報告はベルガザスだけでなくレゾーナにとっても衝撃的な内容であった。

「……悪ガキの手筈ならこの強引な奇襲も頷ける……」

「はい、ですがやはり……グレモルがこのことを把握していたのでしょうか……」

「……当然ヤツの指示で動いていたのだろうよ」

 遠い昔に封印されており、その存在すらベルガザスは忘れていた。魔界十二使徒と言いながら常に1人欠けている事実をベルガザスや魔界十二使徒たちは軽視しすぎていたようである。

「……そして……反逆者グレモルの潜伏箇所についてですが……宮殿内に怪しげな部屋があることを確認しました」

「そうか……では早速叩き潰しに……」

「……それはいけません、その部屋には何重もの術式が施されておりそのほとんどが力によるこじ開けを防ぐものです。陛下では恐らくグレモルを刺激しかねません。やはりここは私にお任せください……」

「……グレモルめ……」

「……私は速やかに攻略に入ります、陛下は……」

 レゾーナがベルガザスに対策を練るように提言しようとしたところで再び魔界の伝令が飛び込んできた。

「レゾーナ様!陛下!……神界勢力に新たな動きが発生!」

「……何がありました?」

「天界、および精霊界からの部隊が派遣されてきた模様。魔界の部隊との交戦が起きているようです」

「……また先に向こうが仕掛けてきたようですね……」

 天界、および精霊界の部隊投入の報はすぐに知らされていた。というのも

「これで我々も天界、および精霊界に攻め入る口実ができたわけですね……」

 これまでは神界勢力単独の行動であったために四界自体を直接攻撃しにいくことはできなかった。しかし天界と精霊界から部隊が派遣されてきたということは天界、精霊界双方も魔界に対して宣戦布告をしてきたことになる。こうなれば当然魔界の部隊は天界も精霊界も攻撃できるということになる。

「……早速精霊界を潰しにかかるぞ」

「…………お待ちください」

 逸る気持ちを隠しきれないベルガザスは腰を上げていたがレゾーナは冷静にそれを制した。

「……少なくとも陛下御身が精霊界に出向くようなことはお控え下さい」

「何故だ?」

「……精霊界を守るために神界本体も精霊界の防備に入ることでしょう。恐らくは魔界勢力の戦力分断を狙った誘いだと思います。今戦力が一番薄いのは恐らくこの地に来ている神界勢力……魔界勢力を多く派遣すれば派遣するほど魔界に攻め込んでいる神界勢力を有利にすることとなるでしょう」

 レゾーナは戦力の分散を目的とした策であると踏んでいた。

「だが何故我が精霊界に出向いてはいけないのだ?」

「……神界統治者が迎え撃つ可能性が非常に高いのです。精霊界への部隊の派遣は慎重にすべきです……」

「……では何をすればいいのだ」

「精霊界に派遣する部隊より天界に派遣する部隊の比率を高くしてください、そして精霊界に派遣する部隊には斥候担当を用意してできるだけ速やかに戦力把握をした方がいいと思われます。まだまだ魔界勢力は数の上で圧倒的優勢なのですから焦ってはいけません……」

 レゾーナが冷静に状況を分析し提言するとベルガザスも渋々腰を下ろした。

「……それと……サルバシオン、およびヴァンフレアが破れたと……」

「……それは本当か?」

 さらに続けてもたらされた報告に特別反応を示したのはレゾーナであった。

「……所属部隊からの報告ですので間違いないかと……」

「……ほう、魔界十二使徒使徒クラスをこうも容易く退けるか」

「……それだけ神界勢力には最大戦力を集中させているということでしょう」

 ベルガザスは意にも解せぬ風であったがレゾーナには多少焦りの色が見られた。

「レゾーナ、次はトロスニアとゼクトールをぶつけてみようか」

「陛下!そう簡単に魔界十二使徒を……!!」

「……レゾーナ、お前がいれば神界勢力とはいえ敵ではないだろう?それにまだまだ奴らの戦力を計らねばならん」

「……使い捨てるおつもりですか?」

「……必要とされてるのは結果だ。お前と違いあいつらはまだまだ大きな結果が残せていない……」

「…………」

「おいお前、トロスニアとゼクトールを向かわせろ。結果を残してこいとな」

「……はっ」

 伝令は2人丁寧に頭を下げるとその場を後にしていった。

「……レゾーナ、お前は早くグレモルを潰してこい」

「……畏まりました」

 そしてレゾーナもベルガザスの指示を受けてその場から立ち去った。



「……兄上、どうやらサルバシオンとヴァンフレアは破ったようです」

「そのようだね、流石は神界勢力だ」

 同じころグレモルとバレンシアも同じ情報を取得していた。

「……それと……天界と精霊界の部隊も参入してきたと」

「部隊を指揮しているのは誰だろうか……」

「天界勢力の方は……十二聖女を送り込んできたようですが……精霊界勢力の方は八理の者ではない……私も知らない者です」

「まぁ仕方ないか、八理クラスの者は精霊界の防備をしなければならないだろうしな……」

「……陛下は……レゾーナはどう動くでしょうか」

「……精霊界にどれだけの数で攻め入るか……だろうね……恐らく最初は様子見をするだろう」

 ここまでのグレモルの読みはレゾーナの考えと一致していた。

「……ただ恐らくレゾーナは読み違いをしている」

「そうですか?」

「……精霊界には神界の守備隊も派遣されているだろうと思い込んでいるはずだ……さらにノエル様も」

「ノエル様が精霊界に?」

「ああ、ただそんなことはありえない……ノエル様は神界で魔界からの干渉を防ぐ立場にあるからね」

「……つまりレゾーナ様が想定しているほど精霊界の守りは強固ではない……と?」

「……ネレイス様たちにとってはできるだけ多くの魔界戦力を削ろうとしているからね。恐らく精霊界の守りが薄いとなればそこに戦力を集中させはじめるだろうね」

 グレモルの読みはレゾーナのさらに上をいっていたようである。

「しかし……精霊界は大丈夫なのでしょうか?」 

「……分からない。ただ……自信があるってことなんだろうね……」

 精霊界の防備事情についてはグレモルも想像はついてなかったが、後に精霊界防備にネレイスが練った“2つの策”の存在にグレモルは気付くことになった。

「……ん、そして来たようだ」

「もしかして……」

「レゾーナだ、この部屋を嗅ぎ付けたようだね……」

 レゾーナがこの部屋の攻略を開始したことがグレモルにも伝わってきた。じきにこの部屋も安全ではなくなるだろう。

「バレンシア、準備を始めていてくれ」

「分かりました、兄上」

「……さて、この術式がレゾーナ相手にどこまでもつか……」

 そう言いながらもグレモルには余裕の表情が漂っていた。





「チィ、埒があかねぇ」

「3方向から攻められてるからな……おい、後ろは大丈夫か!?」

「大丈夫よ、囲ませはしないわ!」

 ネレイスたちは攻めあぐねていた。完成していない陣を破りにかかったものの魔界の大型獣人種を中心とした守りに秀でた部隊の多さからなかなか突破するまでにはいたらず、敵の陣形もネレイスたちを包囲するような形に変形し始めていた。なんとか囲い込もうとする部隊は最後方で腕を振るっていた双神リンデたちの活躍により防ぎ続けていたが、徐々に狭められはじめているようであった。

「……ネレイス、これはよくねぇぞ」

「……こうなったら……もう突貫しかないよね」

「……行けるのか?」

「……ガラティーンを放つ……そこでできた穴を通り抜ける」

「……塞がれる前に……か」

「そそ、いつもやってるあれだよ」

 そう言うとネレイスの背中の羽が変形し大きな透明の花のようなものになり、光が集まり始めた。

「リンデ、もう少し凌げ!エミリオ、ヘリオス、横から来るのは頼むぞ。後はネレイスを守れ!」

 ラヴィスの号令のもと精霊界砲を放つネレイスを全力で守っていく。

「……いいよ……!」

「ネレイスの前方から離れろ!」

 ラヴィスがそう言うとネレイスの正面には魔物の群れが広がった。

「精霊界砲……ガラティーン……発射!!」

 その群れに向かい思いっきり光を解放した。破邪の光砲が魔界の陣に一筋の道を作っていった。

「みんな、行って!」

 ネレイスのその号令でみんな一斉に突破を始めていった。背後を守っていたリンデがネレイスの脇を走り抜けていくと背中からの圧力を強く感じた。

「はぁぁぁっ!」

 その圧力の元となっていた魔物をエミリオは一気に吹き飛ばした。

「さ、早く行って!」

「ありがと、エミリオさん!」

 ガラティーンを放った後すぐにネレイスは羽を変えると精霊界砲の中を突っ切れなかったファラを抱えて飛んでいった。

「はぁぁぁっ!」

 エミリオはもう一度槍で薙ぎ払い敵を吹き飛ばすとネレイスの後を追うようにして飛んでいった。

「……もう少し!」

 放たれた精霊界砲の中を駆け抜けていたラヴィスは陣の後方にまで達していた。もう少しで陣を突破することができる。

「……ち……向こうもリカバリーが早いか……」

 しかし精霊界砲の効力が弱まってきたところで魔界勢力も最後方の穴を修復し始めていた。このままでは走り抜ける前にまた塞がれてしまいそうであった。

「……任せろ!」

 その時ラヴィスの横をヘリオスが駆け抜けていった。

「道を開けろっ!」

 左右から迫りくる魔物の群れを切り裂き道を作っている。そこをラヴィスたちは駆け抜けていった。

「エミリオ!」

「……そうね!」

 最後にエミリオが飛び越えていくと駆け抜けていったラヴィスたちの背後を守るように再度敵の部隊に攻勢をかけた。

「ネレイス、ここは引き受けた」

「このまま背後を突かれ続けるのは心配でしょ?私たちがここで抑えとくわ!」

「ヘリオスさん!エミリオさん!」

「……振り返ってる暇はない、ヘリオス、エミリオ、そこは任せた!」

 一度振り返ったネレイスを制する形でラヴィスはそう言った。このまま全員で相手にするのでは陣を突破した意味がない。誰かが足止めをしなければいけなかったのだが、機動力に勝るヘリオスとエミリオは殲滅後の復帰も早くできる。2人への負担は大きくなってしまうものの、少しでも戦力を残しておきたいネレイスたちにとっては最良とも言える選択であった。

「……エミリオ、どれくらい行けそうだ?」

「これくらいの相手ならまだまだいくらでも行けそうよ」

「そうか……エミリオ、援護を頼むよ」

「任せて、行くわよ!」

 相手は何体いるかは分からないもののその勢いは全く引けをとらないものであった。





「……殲滅完了です」

「……おう、ご苦労だった」

 将軍のもとに聖女が報告に来ていた。天界の部隊を指揮していたリーダー格の聖女は緋色の髪をなびかせ、ナイトランスを携えたその姿は聖女としては異色な姿であった。

「……私は天界より派遣された部隊を率いる第6聖女、ヴァレリア。こちらでは貴殿らの指示に従うよう動けと言われている」

「オレは将軍と呼んでくれ。今は訳あって単独行動中だが本体はすでに大分先に行ってるだろう……これから本体と合流しに行く」

「承った」

 ヴァレリアが合図を出すとその後ろに天使の部隊が綺麗に整列した。さらにヴァレリアの横にもう一人聖女が立つ。

「……そしてもう1人……副官を務めている第7聖女のラヴェンナだ」

「よろしくお願いします」

 紹介されたラヴェンナが丁寧にお辞儀をした。ゆったりとした法衣に身を包んだ姿は将軍もよく知る聖女の姿に近いものであった。

「十二聖女が2人も来たのか……」

「天界にはエリミーヌ様とウルスラ様がいらっしゃる。あのお方がたがいらっしゃれば天界は安泰だ」

「こちらにも予定以上の部隊が派遣できたのもエリミーヌ様やウルスラ様のおかげです」

 天界から派遣された部隊は当初予定されていたものよりも多く派遣されていた。

「オレらとすれば心強い限りだ」

「……我ら天界の部隊は魔物相手に遅れは取らぬ。戦力として十分頼って頂きたい」

「そうだな、個々の力は優れてるが流石に多勢に無勢だ。さっきみたいな集団相手は頼らせてもらうぞ」

 そう言った将軍のもとに今度は美しい水の体を持つ精霊がやってきていた。

「……精霊界の部隊、全員異常ありません」

「ご苦労だった、お前が精霊界の部隊の指揮官か?」

「はい、清流のリヴィエールと申します。……精霊界はどうしても防備に戦力を割かざるを得ないために私のような未熟者と急遽結成された混成軍で非常に心許ないですが……」

「……まぁ仕方ないさ、そんな中でも来てくれて感謝するぜ」

 精霊界は八理守護精霊に八理竜を精霊界の防備にあてるとネレイスは言っていた。当然各地の正規軍は八理守護精霊について戦うことになり、数の多い精霊たちとはいっても魔界侵攻部隊に戦力はなかなか割けないのは当然であろう。

「……しかし清流のリヴィエール……聞いたことのない名前だな」

「水の八理守護精霊、エメローネ様に仕える一介の精霊です……エメローネ様の指名でこんな大役を任されるなんて……」

「……それなりに手腕はあるってことなのだろう?」

「そんなことは……まだネレイス様のお顔すら拝見したこともないような私が何故……」

 リヴィエール自身は水の精霊たちの間ではそこそこ名の知れていた存在ではあったものの精霊界全体ではまだまだ無名の存在であったと思っていた。

「……オレには分かった気がするな」

 しかし将軍はリヴィエールを見たところでおおよその察しがついたようである。

「……ま、ネレイスに会えば教えてくれるだろうよ」

「……はい」

「ひとまずリヴィエール、それと精霊界の部隊は本体と合流前に何かあるとネレイスに顔向けができん。無理はしないことと負の気が影響しだしたらすぐに報告してくれ」

「分かりました」

 丁寧なお辞儀をするリヴィエールの後ろには精霊界の部隊がずらりと整列していた。姿形はばらばらで属性も非常に偏りがあるように見えるがそれがリヴィエールの統率の元1つの部隊として機能している。リヴィエール本人は気付いていないがそれほどの実力があるということなのだろう。

「……よし、じゃあ行くぞ。大丈夫だとは思うがオレらが遅れて本体がやられたら話にならんしな」

「そうだな」

「はい、行きましょう」

「出撃だ!」

 将軍は再度部隊の様子を確認し、そして号令を出した。その後に続いて天界、精霊界双方の部隊が移動を開始した。


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ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter4~

「くっ……」

 ランディはギリギリの立ち回りを余儀なくされていた。体調がまだ万全でなかったせいもあったが、それ以上にヴァンフレアの猛攻に完全に押されてしまっているような状況であった。

「よくかわせてるじゃなぁい。でも避けてるだけじゃ勝負にはならないわぁ」

 ヴァンフレアの雷撃は全く切れ目がなく放たれ続けていた。ただただ強引に雷撃をばらまいているようにも見えたがそれが隙のない攻撃となっているようだ。力づくで押し通すものがよくやる上等手段はこの場では非常に有効なものとなっていた。

「…………」

 しかしランディもただ避けることに必死になっているわけではない。その目は常に飛んでくる雷撃のみならずヴァンフレア自体も捉えており、攻撃時の特徴やクセ分析し有効な攻撃手段を模索していた。

「……やはりあの翅が弱点だろうな……」

 ランディが目をつけていたのはヴァンフレアの背中に広がっていた2枚の翅であった。ヴァンフレアが放つ雷撃は高速回転により威力と速度が高められているようであるが、どうやら翅をはばたかせていることによっても効果を高めているような感じが見ていて気付いたようである。さらには回転方向も最初に遭遇し襲ってきた時を振り返っても反時計回りに回転していたことに気付いていた。そしてヴァンフレアの翅は背中側にプロテクターのような骨の飾りがついており、そこからは雷撃が飛んでこないために雷撃はヴァンフレアがランディの方向を向いている際に多くなり、背中を向けている際には数が減るということが分かった。しかし当然ながら背中側は骨の飾りに守られているために雷撃の数が少なくなる際に攻撃を仕掛けても効果は薄そうである。

「……ただ魔界十二使徒クラスなら当然魔界の加護もかかってるだろうしな……」

 さらに相手には抵抗性を高める魔界の加護がかけられておりその撃破は一筋縄ではいかない。ランディは雷撃が乱れ飛ぶ中一撃で翅を撃ち抜くにはどうすればいいか考えていた。

「……これは……ああするしかないか……」

 ランディの中で結論が出ると構えていたグングニルで周囲を一度薙ぎ払った。その一撃はヴァンフレアの雷撃を反射させる。

「あらぁ、なかなかやるじゃない。でもアタシに雷は効かないわよぉ?」

「効果はないかもしれないけど意味はあるよ」

 打ち返した雷撃はヴァンフレアが新しく放った雷撃と当たり相殺された。これによりランディに反撃のチャンスが生まれその隙間を突いてランディは一気に近付きヴァンフレアに一撃を放った。

「くぅぅっ!……やるじゃないの」

 しかしその一撃が当たったのはランディが弱点と見ていた翅ではなく胴体であった。ヴァンフレアの攻撃は止められたもののやはり魔界の加護により効果は減衰されダメージ自体はさほど多いものにはならなかったようである。

「……それはどうも」

 ランディは狙いを外したが大分落ち着いていた。その顔は攻撃が止まってよかったと言いたげに見える。

「……アタシの攻撃を止められたのは魔界の連中以外ではアンタが初めてよ」

「そうかい?それは光栄だね」

 ヴァンフレアからの予想外の言葉にランディは驚いたが、一言そう言うと槍を引き構えを解いた。

「そういえばちゃんとアンタの名前を聞いてなかったねぇ」

「僕かい?……僕は神界八将、智神のランディだよ。魔界十二使徒……霹靂のヴァンフレア・トルエーノ」

「あらぁ、その名前で呼べる人間がいるなんて感心しちゃうわぁ」

「魔界において雷属性最強の使い手らしいね。相手を圧倒する力を追い求めた結果行き着いた境地……その無差別に周囲の者を屠る姿から魔界内でも恐れる存在が少なくないとか」

「ふぅん、随分アタシのこと知ってるみたいじゃない」

「……戦う相手のことはある程度調べておくのが僕のやり方でね、魔界十二使徒のことはある程度勉強させてもらったよ」

「面白いじゃないの、魔界にいるだけじゃアンタみたいな人間がいるなんてこと分からないしねぇ」

 これまで酷薄な表情の多かったヴァンフレアであったがその表情が心なしか少し緩んだように見えた。

「……魔界に人間が来るようなことは普通ないだろうしね。でもわりと外に出て活動している魔界十二使徒も多いようだけど?」

「……アモンとかバレンシアのこと言ってるの?確かにそうねぇ、でもアタシは到底外には出してもらえないわぁ」

(……これは……なるほどね。……どうしたものか)

 ヴァンフレアの声は変わらず耳障りなものであったが、どことなくもの寂しげであった。ヴァンフレア程の実力があれば魔界にとっても勢力の拡大に大きく活躍してくれそうなものであるのだが、魔界から出してもらえないというのは相当の理由があるはずである。ランディはその理由におおよそ見当がついていた。

「……って何でアタシがアンタにこんなこと……興が冷めちゃうじゃない」

「おや?君も興が冷めるなんてことがなるんだね」

「当然よ、常日頃ずーっと暴れてるわけじゃぁないわ」

 ヴァンフレアの表情は次第に元に戻りつつあった。

「……僕は構わないんだけどね、すぐに片付けてこいという指示は受けてないんだし」

「あらぁ、じゃあいいじゃない、もっと遊んでいきましょう?」

 そしてバチバチと青白い電流が流れ始めていく。

「……そうだね、できれば僕ももう少し相手をしてあげたいんだけどね……」

 一方ランディはまだ槍を構えない。

「……君の遊びにずーっと付き合うと僕の体がもたないからね、悪いけど……すぐに終わらせるよ」

「あらぁ、そう?随分自信ありげな顔してるじゃないの、坊や」

 自信満々に言い放つランディに対してヴァンフレアもすっかりいつもの表情に戻っていた。

「…………」

「……あらぁ、どうしたの?自信満々なアンタの言葉もっと聞かせて頂戴!」

 ランディはこの時考え込んでいた。ここで使う言葉がこの先の展開に大きな影響を及ぼす。本来のランディであれば戦いに勝つために迷わず言っていただろう。しかし今のランディは違った。魔界鎮圧作戦に赴いたネレイスの気持ちと本来のヴァンフレアがどういう存在だったかに予想がついてしまったため迷いが生じてしまったのである。もしこの場にネレイスがいたら……ランディの作戦は大きく変えざるを得なくなっていただろう。

(……すまないネレイス、ここは……僕の役割を果たさせてもらうよ)

 ただ今は魔界十二使徒撃破という自分に課された本来の役割を貫いた。

「……坊や、かぁ。人間ってこれでも成人だしわりと見た目より長く生きてるつもりなんだけど……」

 そして覚悟を決めたランディはヴァンフレアに向け不敵な笑みを浮かべて言い放った。

「……まぁ君からすれば確かに僕は坊やかもしれないね」

「……何ですって?」

「……違うのかい?君は魔界ができた時には生まれていたはずだよ?でも僕はその時にはまだまだ生まれていない」

「……アンタ……アタシに向かってっ!!」

 ランディの放った言葉は婉曲表現ではあったものの、要するにヴァンフレアを年寄り扱いする非常に単純な挑発であった。しかしヴァンフレアは簡単に激昂したようでありそのボルテージはみるみる上がっていった。ランディが槍を構えずに言ってのけたこともさらに効果を上げたようである。

「アンタも……アンタも……っ!!アタシをっ!!!」

 ヴァンフレアの正面には巨大な雷の球が作られていた。さらには広げた翅を前に曲げるようにすると翅にも力が集まっていた。

「……何もかも!全部!滅ぼしてやるわぁ!!」

 十分に力を蓄え臨界点に達するとためらいなくヴァンフレアの正面に放った。翅に集まった力は雷属性のレーザーとしてはるか彼方まで貫いていき、巨大な雷の球は地面に着弾すると当たり一帯を激しい閃光に包み一瞬にして跡形もなく破壊しつくしていった。

「アハハ!アハハハハッ!!人間なんてゴミよ!全部消し去ってあげる!!」

 奇声をあげ笑い狂うヴァンフレアであったが、突如左の翅に衝撃を感じた。

「全部……消して……」

 ヴァンフレアがそれに気付いた時にはもう一度左の翅に衝撃を受け、左の翅の上と下に大きな穴が開いてしまっていた。さらにその穴を確認した時には今度は右の翅に二度衝撃を受け同じく大きな穴が開けられていた。

「……冷静になろうね、僕の動き見えてないんじゃ話にならないよ?」

 恐る恐る振り返ったヴァンフレアが見たものはまばゆい光の槍を構えたランディが眼光鋭く狙いを定め、ヴァンフレアの胸部めがけて槍を貫こうとしている瞬間であった。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 ランディが放った一撃は先ほど雷撃をばらまく攻撃を止めた際に放った一撃とは比べ物にならない破壊力で、先ほどは防がれた魔界の加護をものともせず打ち破りヴァンフレアの胸部を正確に捉えた。貫かれたヴァンフレアは苦悶に満ちた表情を浮かべ、翅を散らし最初に会った人に似せた姿に戻り断末魔のような声をあげて地に墜ちていった。

「……言っただろう?すぐに終わらせるって」

 グングニルから光が消えるとヴァンフレアを貫いた光の槍も消失した。

「さてと、流石に将軍ももう片付けてるだろうし……早いとこ合流しないと……」

「……待ちな……さいよ……」

 そしてランディがその場から立ち去ろうとしたとき、背後からヴァンフレアの呻き声が聞こえてきた。

「……まだ息があったとはね、流石は魔界十二使徒といったところか」

 ランディは足を止めてヴァンフレアの方を向いた。正直さっきの一撃でしっかりと仕留めていたと思い込んでおり、ヴァンフレアのしぶとさに驚いていた。

「……とぼけないで頂戴……アンタ……わざと……外したでしょう……」

「そんなことは……」

 ヴァンフレアの指摘ににランディは言葉を詰まらせた。ランディ自身は想いを振り切っていたのだと思っていたがまだかすかに迷いがあったことの現れだったのだろう。

「……いや、そうかもしれないね」

「……これだから……人間は……アタシたちを……どこまで……」

 転がっているヴァンフレアのすぐ目の前までランディが来ていた。そのランディをなんとか仕留めようとあがいたのだが、自慢の雷は静電気すらも起こすことができず、ランディに触れることはおろか体を動かすこともできなかった。

「……君を仕留められなかったのは僕じゃない、ネレイスだよ」

「……何で……その名前が今出るのよ……」

「……ネレイスは君みたいな存在を救いたいとずっと言ってたんだよ」

「……何よ……アタシは魔界の……」

「……君……その姿から人間に蔑み、虐げられ、忌み嫌われてきたのだろう?」

「……そうよ……」

「……人と精霊の関係を改善して再び仲良く暮らせる世界を……人と精霊の間に生まれた存在として……ね」

「……そんな世界……幻想よ……」

「……でも……君も一瞬その幻想を見たんじゃないのかな……?」

「それは……」

 確かにその幻想を見たような気がした。ランディはこれまで会った人間とは間違いなく違っていた。ランディがヴァンフレアを見る目は化け物を見るような目ではなかった。自分と対等の存在として見てくれていた。……そんな人間がいたということにもっと早く気付いていれば……

「……まぁ結局僕がその幻想打ち砕いちゃったけどね……」

「……違うわ……アンタは……違う……」

「……君がよく知る君を見下す人間……」

「違うわ……アンタは……そんな悪人じゃない……あの時のアンタが……笑ってたのは……アタシを蔑んでいたからじゃない……」

「……参ったなぁ……そんなこと言われるとは思ってなかったよ」

 ランディは困惑したような顔で頭をかいた。ヴァンフレアのその言葉はランディも全く予想していないものであった。

「……じゃあ何で君は僕のあんな見え透いた挑発に乗ったんだい?君が挑発に乗らなければこうならずに済んだかもしれないのに」

「……もうアタシの体が……勝手に反応するのよ……それに……アタシは霹靂のヴァンフレア……魔界十二使徒としての……誇りと威厳があるのよ……」

「……そうか、君はもう最期まで魔界十二使徒としてしか生きれなかった……ということか」

「…………」

 ヴァンフレアの顔色は既に蒼白であった。もうそろそろ限界なのだろう。

「……さぁ……早く殺しなさいよ……このままのたれ死ぬとか……」

 ぐったりしているヴァンフレアの声はまるで覇気がなかったが、最期までその高圧的な喋り方は変わらなかった。

「……断るよ。僕は悪人だからね……君の願いは聞けないよ」

 ヴァンフレアのその懇願をランディはニヤリとした顔をさせ一蹴した。それは智神ランディの策略家としての表情だった。

「……いいわ……また復活して襲ってあげるんだから……」

「構わないよ、僕は何度でも相手になってあげるからね……というより……その状態から君が復活できるようには到底思えないけどね」

「……く……」

「……じゃあ僕はこれで失礼するよ。楽しいくていい勝負だった……」

 そしてランディは静かにその場を立ち去ろうとしていった。

「君のことはネレイスにも“最後まで手を焼いた”と報告しておくよ」

「…………!!………………………!!」

 ヴァンフレアは最期に何か言い残そうとしたものの、それがはっきりと言葉になることはなかった。





「……ネレイスさん、聞こえますか?」

「あ、ミーナさん?どうしたの?」

 将軍とランディを置いて進んでいたネレイスたちはある程度経ったところで一旦休みを取っていた。

「……将軍様が強敵を退けたとかで……精霊界、天界の部隊を派遣するよう要請を受けたので……」

「無事部隊は派遣できたんだね……合流した方がいい?」

「……いえ、背後を突いていた部隊との交戦中でまだ時間がかかるそうです……」

「……んー……そっかぁ……」

 ネレイスは前方を確認する。魔界の部隊が展開しておりこちらの様子を見ていたのだが、その部隊の構成は先ほどよりも大型の魔物が多かった。将軍とランディを欠き、戦力の上で多少不安があったためにできれば合流をしたかったのだが……

「……何か問題でも?」

「……こっちも大型魔界種の部隊と遭遇しちゃって……ランディさんも今離脱しちゃってるから戦力が……」

 こちらの戦力は少数であるためできれば相手の準備が整う前に決着を付けてしまいたかった。そのためどうやら合流している時間的余裕はなさそうであった。

「……でも分かったよ、今いるメンバーでなんとかこの場は凌ぐね」

「……無理しないで下さいね」

「うん、将軍様のとこにもそこまで急がなくて大丈夫ってこと伝えておいて、じゃあ……」

 ネレイスはミーナとの連絡を終えると小さくため息をついた。

「……やっぱここはあたしたちでやらないとダメかぁ」

「そうだな、相手はさっきより厄介だしな……」

「ネレイス、何か作戦は?」

「……何も。とにかく全力出して突破するしかなさそうだもん」

 近くにいたファラとラヴィスも分かっていたような顔をしていた。そして同時に覚悟を決めていた。

「……じゃあやるしかねぇな、号令頼むぜ」

「……うん、敵が完全に陣形を整える前に叩くよ、突撃!」

 ネレイスのその号令でファラとラヴィスが先陣を切って飛び出していった。その脇をヘリオスとエミリオが守るような形で進んでいく。その後ろからルミナスとフィア、そしてネレイスがサポートに入る。

「……チィ、一撃で沈まねぇか」

「ラヴィス様、倒せない敵は私たちが仕留めていきます、遠慮なく斬り進んでください!」

「おいフィア、間違えてオレを狙うんじゃねぇぞ」

「安心してください、将軍様のしもべを裁くようなことはしませんから!」

「あたしも見てるし大丈夫だよ!」

 魔界軍迎撃部隊のまだ守りの陣形が整っていない箇所から攻略が始まった。


←Chapter3     Chapter5→


ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter3~

「みんな、大丈夫そう?」

「平気だ。魔界十二使徒直属というだけあって多少骨はあるがこの程度……」

 ネレイスたちは終始押し気味で戦闘を続けていた。ミディアはランディと共に下がっていたものの残るメンバーで十分対処できるレベルの質と量だったこともあり短時間で勝敗の行方はほぼ決していた。

「なら……一気に決めちゃおうかな」

 ネレイスの体調もまだまだ良好であった。消耗を避けることも必要なのだがネレイスは動きの中で自らの調子を上げていくタイプだということもあり、ウォーミングアップがてら剣舞を見せつけていたが体もよく動いており魔界の負の気による影響はまだまだ見られないようだ。

「あたしが相手になるよ……っ!」

 ネレイスを討ち手柄を上げようとする相手をいとも簡単に翻弄し斬り捨てていく。魔界十二使徒直属の部隊であろうとネレイスの前では霞んで見えていた。

「遅い……っ!」

「攻撃が届いてないわ!」

 また今回の戦闘では機動力の高いヘリオスとエミリオが殲滅に大きく活躍をしていた。地上と上空を支配する2人の神界八将が双方から駆け抜けていきいとも簡単に薙ぎ倒していく様は圧巻であった。

「こんなの相手ならまだまだ楽勝よ。ね、ヘリオス?」

「確かにな。この程度ものの数ではないが……これが魔界の部隊の実力とは思えんな……」

 その2人を含めてまだまだみんな余裕そうであった。



「……ほう……流石は精霊界女王御一行……あそこまで簡単に蹴散らすか……」

「ま、あんなものだろうよ」

 一方の将軍とサルバシオンはほぼ互角の立ち会いだった。互いに力量を計っているような節もあったが、それを考えてもお互いの力の差はほぼないに等しかった。

「……しかし……魔界十二使徒の名前は伊達じゃないな。久々に楽しい勝負ができているぜ」

「魔界にいるだけじゃ味わえん感覚だ……感謝する」

 将軍の刀をサルバシオンは盾で受け止め、サルバシオンの剣は将軍がもう片方の刀で受け流していく。まだまだお互いにその動きに余裕があるようだ。

「……しかしファラを味方につけるとはな……」

「ま、偶然な。ガキのくせに生意気だが腕はいいしなんだかんだでいいやつだもんな」

「我々の動向はファラを通じて得ていたわけか……」

「そうだな、存在自体忘れられてるあいつなら魔界に忍び込んで情報盗み出すことも容易い」

「……なるほどな」

 刃を交えながらも2人は会話をする余裕がまだまだあった。その中で話題は魔界十二使徒ファラのものになっていく。

「しかし……ヴァンフレアはファラのことが分かってなかったようだがお前は何故覚えていたんだ?」

「……ヤツには色々と世話になったからな」

「……なるほど、確かに悪ガキだからな」

 サルバシオンの口ぶりから随分ファラには手を焼いていたのだろうことが分かった。当然将軍にもその気持ちはよく分かっている。

「その悪ガキを黙らせる実力……確かにあるようだ」

「だが所詮ガキなんだろ?お前はもっと強い」

「……当然だ。ガキの死神相手に後れをとるようなことはない」

 するとサルバシオンが1段攻撃のギアを上げてきたような気がした。将軍はその判断が一瞬遅れ受け流していた刀の1本―落日楓が大きく弾け飛んだ。

「っと……」

 しかし将軍は落ち着いて黙黒橅を抜き振り下ろされた剣に対して振り上げた。重量のある黙黒橅の一撃はサルバシオンの剣を弾き体勢を崩させた。

「……個々の刀の特性を把握しているわけか……」

 サルバシオンも崩れた体勢ながら尻尾を振り回した。尻尾も立派な鱗で覆われており先端は刃のように鋭くなっていた。その部分で将軍の攻撃に使っていた刀―夢宵桜と打ちあった。威力は高い夢宵桜であったものの闇属性を有していたこの刀は闇属性に対し抵抗性を持つサルバシオンには効果が薄い。そのため押しとめることに成功した。

「……お互いに体が温まってきたということだな」

「そうだな、まだまだ全力には遠いのだろう?」

 そして両者一旦距離を取り将軍は弾け飛んだ落日楓を回収し、サルバシオンも剣と盾を握り直した。

「将軍様、こっちは片付いたよ」

 そのタイミングでネレイスが声をかけた。サルバシオン背後に展開していた魔界の部隊は1体残らず殲滅を終わらせていた。

「流石だな、本当に一蹴してみせた」

「ああ、見事だ精霊界女王よ」

 鮮やかな手並みにサルバシオンも賛辞を贈った。

「悪いがこっちの決着はまだまだ付きそうにない」

「そうだな、互いにまだ全力を出していない」

「……分かるだろ?ネレイス。ここはオレがそのまま引き受ける」

「精霊界女王は聡明と聞く。いくら魔界を潰しにきたと言ってもこの状況をぶち壊すような者ではないだろう?」

 そして双方ともにネレイスに釘を刺すような言葉を言った。

「……分かった、あたしたちはこのまま先に行くから……後はお願いね」

「任せろ……」

 ネレイスもすぐに理解を示した。後事を託すと仲間たちを率いて先へと進んでいく。

「……さて、ちっと時間をもらえるか?」

「ふむ、何のつもりだ?」

「……もう少しでこの場に天界、精霊界の援軍がやってくる。邪魔をされたら興ざめだろう?」

「ほう……だが我々も既に別の部隊が背後から迫ってきているはずだ。そこはお前らとは違って物分かり悪いやつらばかりだぞ?」

「ならそれまでに決めればいいだろ?……どっちが勝つにしても、な」

「……そうだな、ここからは本気を出せば……すぐに決着がつくかもしれんしな」

「そんなわけで……ちょっと失礼」

 そして将軍は堂々とサルバシオンに背を向けて連絡を取り始めた。

「……ミーナか?」

「将軍様ですか!?無事だったんですね……」

 連絡を入れたミーナは大分慌てていた様子であった。すぐに強力な反応が接近していることが分かり連絡を入れ直そうとしたが誰も応答がなく肝を冷やしたようである。

「……まー無事なんだが……まだ1体大物が片付いてない。部隊の派遣はもう少し待て」

「交戦中だったんですか!?」

「まーな……なもんで連絡入れるまで準備できてても部隊は派遣すんなよ」

「あ、ちょっと……」

「お、やべ、じゃあな!」

 将軍は一方的に状況と要件を伝えるとすぐに連絡を切った。

「準備はできたぜ、じゃあ始めようか」

「よし……では……行くぞ!」

 律儀に待っていたサルバシオンは気合を込めるような仕草を見せると赤黒いオーラのようなものを纏いだした。

「……真剣勝負の始まりだ!」

 将軍の刀にも先ほどまではなかった魔力がしっかりと込められていた。



「……ねぇファラ、将軍様置いてって平気なの?」

「心配いらねぇよ、サルバシオンがどれだけ力をつけてるかは知らねぇがあの将軍が負けるようなことはない」

「それはそうだけど……」

「魔界はオレの庭だからな、別に将軍がいなくたって自由に動ける」

 ネレイスたちは散見されていた魔物を蹴散らしながらどんどん進んでいた。

「だが智神が負傷したのは大丈夫なのか?」

「……大丈夫そうだよ」

 ヴァンフレアの雷撃で負傷したランディは今はヘリオスの馬に乗せられて移動していた。体の痺れは大分取れたようではあるがまだ違和感が残っているらしく足取りはおぼつかない様子であった。

「ランディさんにはとりあえずミディアさんがついてるだろうし……」

「……まーな。ただ先に進めと言われちまった以上この数で1戦ほど突破しないといけねぇとこがある」

「……仕方ないよね、小細工したって仕方ないし……」

「できればこれ以上人数は減らしたくないな……」

 そう言いながら進んでいた2人の足がぴたりと止まった。正面から怪しげな気を感じる。

「……ねぇ、ファラ」

「……ああ、間違いねぇな」

 ネレイスはエンジェルプライアを構えた。そこに雷撃が飛んでくる。

「ふんっ!」

 力負けすることなく雷撃を弾き飛ばすと右腕に現れた盾と同じ材質のボウガンを放った。

「……あらぁ、なんでアンタたちがここにいるのぉ?」

 そこから聞こえてきた声には非常に聞き覚えがあった。

「それはこっちのセリフだ。魔界宮殿にまで報告にいったはずのお前がなんでこの場にいる?」

「ガキがうるさいわねぇ……なーんでアタシがわざわざ報告しないといけないのさ。後ろにいた暇そうな連中に任せてアタシは早く暴れたいのよ」

 先ほどファラの情報を伝えに下がっていったはずのヴァンフレアが報告任務を背後にいた部隊に任せて戻ってきていたのである。

「それよりアンタたちがここにいるってことはサルバシオンのヤツやられちゃったのぉ?」

「……いいや、サシで決闘中だ」

「……なぁに格好つけちゃって……戦いも1対1がしたいとか意味分かんないわ」

「そういうお前も常にぼっちじゃねぇか」

「アタシの周りにうじゃうじゃいられるの大っ嫌いなの。でもそれをまとめて吹っ飛ばすのがたまらないのよねぇ!」

 次第にヴァンフレアの体からは青白い電流の量が増えていき、バチバチという音を立て始めていた。

「どうする、ネレイス様?」

「……ここはあたしが……」

「待ってください」

 ネレイスが準備を始めたその時に後ろから声がかかった。

「……私にやらせてください」

 そこには緑と橙色の鎧に身を包み立派な薙刀を構えたミディアが立っていた。

「……行けるの?」

「……やります。ランディさんがやられた分は私がきっちりお返しをしたいのです」

 ランディがやられたことをミディアは大分気にしていた。自分の気の緩みによって傷つけてしまったことに対する未熟さと後悔の念が雷撃を放ったヴァンフレアに対する怒りとなって現れていた。

「……無理しないで」

「分かりました……」

「……待った。……ミディア、ここは君の出る場所ではない」

「ランディさん……!?」

 そこに待ったをかけたのが負傷中のランディだった。先ほどよりも大分歩けるようにはなっているようではあったが万全の状態にはまだ程遠い様子であった。

「……やられた分はここで僕がやり返すよ……」

「む……無茶ですよその体では……!」

 さらにその手には立派な槍が握られており戦闘態勢を取っていた。

「……ミディア、君の気持ちはよく分かるよ。でもね、これを忘れちゃいけない」

「……なんでしょうか」

「……君の仕事は何だい?敵の攻撃を防ぐことだろう?」

「はい……ですけど……」

「……君でなければ防げない部分がこの先必ずある。君の出番はここではないよ……」

 ランディはミディアを諭すようにしてそう言った。

「でもランディさんの知恵が必要な場面も……」

「……それが今なんだよ」

「……今……?」

「……これ以上戦力を割けない状況で誰かが相手にしないといけない……そんな時は今一番戦力になれなさそうな僕が相手に……」

「ダメですよっ!」

「……僕が負けるように見えるかい?」

 ランディはそう言い放った。見た目ではとても戦えるようには思えなかったのだが、智神であるランディがそう堂々と言うとだんだんと信用できるように見えてきてしまった。そう思わせるほどの力がランディにはあるようだ。

「……ヘッ、流石は智神。よっぽど自信あるんだな」

「……当然だよ。勝算がなければ僕はこんなこと言わない」

「……おい、行かせてやれ」

「ランディさん……」

「……大丈夫だよ、ミディア。それよりネレイスのことしっかり守ってあげてくれよ」

「……分かりました……」

 最後にランディはミディアの頭をなでてあげた。ミディアの目には涙があふれていたが最後はその涙をぬぐい締まった顔でランディを送り出した。

「……ヴァンフレアと言ったね。僕が相手になろう」

「あらぁ、アタシに1人で挑むつもりぃ?」

「そうだね、君は僕1人で勝てるからね」

 ランディは不敵な笑みを浮かべてヴァンフレアを睨みつけていた。普段のランディでは全く見られない姿である。

「……言ってくれるじゃないの、そういうの嫌いじゃないわ」

「よし、じゃあ決まりだ……」

 ヴァンフレアもランディの言葉にうまく乗ってくれたようである。

「じゃあネレイス、任せたよ」

「うん……」

「ミディアも」

「はい……」

 そしてネレイスは残るメンバーを連れてさらに先行していった。

「……さぁ、場は整ったね」

「そのようね、にしてもアンタみたいな強気な人間アタシは好きよ」

「魔界十二使徒ともあろう方にそう言われるとは……光栄だね」

「……ただ随分頼りなさそうな格好じゃない、そんなんでアタシの攻撃にいつまで耐えられるのかしらねぇ」

「やってみるかい?」

「……ふふ、いいわ。これまでとは比べ物にならないほどの力で軽くケリをつけてあげるわ!」

 ランディが槍を回し構えた瞬間尋常じゃないほどの数と力の雷撃がランディを襲っていった。





「……これが魔界の気ってやつか……」

 サルバシオンと交戦中の将軍は思いの外苦戦していた。相手の攻撃はよく見えているので避けたり捌いたりするのは問題なかったのだが、魔界の気を纏ったことにより耐性が強化されたようであり攻撃を与えてもいまいちその効果が出ていないように思えた。

「……ここまでついてくるとは流石だ」

 さらには体力にも差があるようであった。将軍は顔や姿勢には出してなかったものの疲れはどうしても感じていたのだが、獣人であるサルバシオンは体力的にも将軍より優れているためまだまだ疲れている様子は見られなかった。

「……そいつはどーも」

 普段であればファラに意見を求めるところだがそのファラは今はいない。なんだかんだ言いながら将軍はファラを頼りにしている部分があった。

「……ま、聞かなくてもやることは同じだろうな……」

 仮にファラがこの場にいて言うであろうことは当然将軍にも分かっていた。一度将軍は刀を鞘に戻すと柄を握り直した。

「……邪魔ならぶっ壊せ……だな!」

 将軍が両手を広げるようにして刀を抜いた。これまでにない構えを見せた将軍にサルバシオンは一瞬警戒をし出方を窺ってしまった。

「もらったっ!」

 将軍は一気に頭の上まで刀を振り上げると刀を重ねて持ちそのまま思いっきり振り下ろした。そこから発せられた衝撃波がサルバシオンを襲う。反応の遅れたサルバシオンが選んだのは回避ではなく防御であった。

「ぐ……何だこの力っ……!」

 サルバシオンの左手にあった盾では到底抑えきることはできなかった。盾は弾き飛ばされ体も大きく吹き飛ばされたサルバシオンはなんとか体勢を立て直した。そしてその瞬間あることに気付いた。

「……魔界の加護を破っただと!?」

 サルバシオンが纏っていた赤黒い魔界の気がなくなっていた。これまでも将軍たちは魔物との数多い戦いの中で同じような魔界の気を纏う魔物を相手にしたことも何度かあり、その際にも魔界の気を打ち破ることで強敵を打ち倒してきた。魔界の気を打ち破るには一定程度のダメージを与える必要があったが将軍の今の技には魔界の気を一撃で打ち破ることができるほどの力を持っていたのだが、隙も反動も大きいこの技を1対1の状況で使うには非常にリスクのあるものであった。それでも相手の動きを読み切り一瞬の隙を突いた判断を下せる力が将軍にはあった。

「……さぁ、いくぜ!」

 一撃にして形勢を逆転させた将軍は一気にたたみかけにいった。盾を失ったサルバシオンに向かって容赦なく刀を振り下ろしていく。

「……まだだっ!」

 振り下ろされていた刀に黒い闇の魔力がこもっていたことに気付くと迷うことなく尻尾を振り上げて相殺しにかかった。

「…………何っ!?」

 しかしその尻尾は綺麗に斬り落とされてしまった。魔界の気を失ったサルバシオンの力では力の増した将軍の刀を止めることはできなかった。

「もらった!」

 残ったもう片方の刀で横一文字に切り抜けた。しかしそれでけで終わらなかった。サルバシオンの尻尾を斬り落とした夢宵桜でさらに追撃を加え、その間に持ち替えていた風舞蔓でさらに斬り上げた。

「四連刃……!」

 打ち上がったサルバシオンの体を追いかけるようにして飛び上がり今度は黙黒橅を振り下ろして地面に叩きつけた。

「五連刃……爆砕斬!」

 最後に炎を纏った落日楓を先ほど振り下ろした黙黒橅に重ねると落下しながら1回転し叩きつけた。それと同時に地面からは火柱と砂礫が立ち上った。

「……やれやれ、大口叩いたはいいものの随分苦戦したな……ファラに見られてたら笑われるとこだったぜ」

 サルバシオンの体は灰燼に帰していた。魔界十二使徒相手でも一撃で屠る力があることを将軍は示した。

「さてと……じゃあミーナに……」

 そして将軍は一息つくとミーナに連絡を入れた。

「……ミーナ、聞こえるか?」

「将軍様!無事に片付いたんですね?」

 ミーナも安堵したような様子だった。

「ああ、これで部隊をここに出すことができるはずだ……」

 そう言って何気なく振り返ると先ほどサルバシオンが言っていた物分かりの悪そうな魔界の戦士たちの部隊が近付いてきていた。

「……というか急いでくれ、頼む」

 急に将軍の顔色が悪くなった。割とさっきのサルバシオン戦で消耗したために常に先陣に立って戦いを繰り広げるタイプの将軍にしては珍しくできればやりあいたくはない状態であった。

「えっ?どうしたんですか急に?」

「魔界の部隊が来てる。しかもかなり多い。オレ1人では相手にしきれん、早く援軍出してくれ!」

「え……えぇっ!?」

 将軍が慌てた様子を見せることは滅多にないことである。その様子にミーナも大分戸惑っているようだ。

「は、はい。すぐに手配します……っ!」

 そしてすぐに精霊界と天界に部隊展開の指示を出した。ただちに準備万端で待機状態にあった天界、および精霊界の部隊が将軍のいる場に派遣されてきた。

「……貴殿が将軍だな?」

「ああ、そうだ」

「自己紹介は後にしよう。話は聞いているから……まずは魔界の部隊を叩く」

「よろしく頼むよ」

 そう言うと天界の部隊を率いる大将が号令を出した。

「我らの力を示す時が来た。全軍出撃だ!!」

 その号令に従い天使たちが魔界の部隊との交戦を開始した。

「……遅れてしまい申し訳ありませんでした、精霊界の部隊も到着しました」

「御苦労、負の気は大丈夫か?」

「……多少心配はありますがまだ大丈夫です」

 さらには精霊界の部隊を率いる精霊も将軍のところにあいさつにやってきた。

「……あまり無理するなよ、被害が大きいとネレイスに顔向けできない」

「分かりました。天界のみなさんの支援を中心に立ちまわります!」

「頼んだぞ」

「はい、みなさん無理をなさらないように……出撃ですっ!」

 そして精霊界の部隊もリーダーの号令のもと天使の援護へと向かっていった。

「……よし、これで片付いたら早いとこ合流だな……」

 一仕事終えた将軍はその場に座り込み戦況を見つめていた。その腰は天界、精霊界双方のリーダーが魔界軍を撃退し戻ってくるまで上がることなく済んだのだった。


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ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter2~

 
ミーナからの連絡が切れた直後だった。

「なんか来たぞ!」

 将軍がそう叫んだ時には将軍の横を雷撃が通り抜けていた。

「っっ!!」

 その雷撃を止めたのは左手に青い盾を構えていたネレイスであった。ただ相当の速さと衝撃に体勢は大きく崩されていた。

「何?奇襲?」

「大丈夫か?ネレイス」

 すぐにラヴィスがやってきて警戒を強めはじめた。

「……チ……もう来たのかよ」

 その中突如将軍の横にファラが姿を現した。

「どうした、ファラ」

「……早速魔界十二使徒を放り込んできた……しかもよりによって……」

 言いかけたファラは鎌を振った。その位置に先ほどと同じ雷撃が到達しており力ずくでそれを弾き飛ばした。

「一番血気盛んなバカをかよ……!」

 その後も何度か飛んでくる雷撃をファラは全部残さず弾き飛ばしていった。

「……知ってるのか?」

「……ったりめぇだ。こうやってただただ考えもなしにこんな雷撃をぶっぱなすヤツなんて1人しかいねぇよ」

 すると雷撃が飛んできた方向から不気味な黒い影が近付いてきた。

「……霹靂のヴァンフレア……魔界十二使徒の実質下っ端だ」

 緑、青、紫といった毒々しい色の体からは青白い火花のような電流が散っており、背中からは白い骨のようなもので防御能力が上げられた四枚の羽を同じく青白い火花を出しながら羽ばたかせていた。

「……随分と早いお出ましだな」

「まぁオレらの力を試そうってことだろ……心してかかれよ」

 普段は軽口を叩くファラも相手の実力をよく知っているためか今回ばかりは警戒を促した。

「なぁ~にぃ?こ~んな人数でケンカ売りに来たのぉ~?ば~っかじゃないのぉ~?」

「相変わらずだな、ヴァンフレア。お前こそ単独でのこのこ出しゃばってきたじゃねぇか」

 耳障りな声で小馬鹿にしてきたヴァンフレアに対しファラも挑発で返した。

「あらぁ、アタシのこと知ってたのぉ?」

「ヘッ、知らねぇ方がおかしいぜ……魔界十二使徒なんて仰々しい名前が付いてるヤツのことを知らずに来るかってんだよ」

 ヴァンフレアがファラを睨みつけるがファラは意にも解せぬそぶりを見せている。そしてこの時点でヴァンフレアもファラのことを忘れているであろうことがはっきりしたようでファラはしたり顔を見せる。

「あらぁ、そうだったの……じゃあ挨拶はいらないかしらぁ?」

 少々不満そうな顔をしたヴァンフレアだったがすぐに気味の悪い笑みを見せると体から出ている電流の量が一気に増えた。

「最初から暴れちゃって問題ないわねぇ!」

 そしてヴァンフレアの体は雷に包まれそこからあらゆる方向に雷撃を撒き散らしていった。狙いは全く定まってはいないがそこから感じる力は破格なものであることは間違いなかった。

「……全方位にばらまいてやがる……これじゃあ味方も巻き込むだろうよ……」

「だから単独でないとやってられねぇのさ……だからサルバシオンとは相性がいいんだよ」

 将軍が黙黒橅で発生させた岩の壁で身を守りつつファラに声をかけていた。一方のファラは鎌で弾き飛ばしながらまた新たな名前を口にしていた。

「……そいつも十二使徒か?」

「ああ、魔界十二使徒流浪のサルバシオン……お前みたいにぼっちでぶらぶらするのが好きな蜥蜴だよ」

「……さりげなくオレに対する当てつけかよ……」

 その後もファラが魔界十二使徒についての話を続けた。それによると魔界十二使徒は男女1対6組で構成されており、その1対ごとでペアを組み仕事をすることが多いという。それも第1使徒と第2使徒といった男女同列の使徒同士で組むことが基本とされていたようであるが、相性の問題から組み直しが起きたところもあるようで現在では

第一 レゾーナ&第二 グレモル
第三 アモン&第五 バレンシア
第四 ゲルデシア& 第七 ゼクトール
第六 ゾルホス&第八 トロスニア
第九 ヴァンフレア&第十 サルバシオン
第十一 コーネフ

という編成になっているようだ。

「……何でコーネフってやつだけ1人なんだ?」

「何でって……第十二使徒のオレがここにいるからに決まってるだろ」

「……お前はもういない存在なはずなんだろ?何で新しい第十二使徒を用意してないのさ?」

「……さぁな、だがこれまでオレの代わりに新しい十二使徒を任命したって話はないぜ」

 十二使徒の空位に将軍は気になる部分もあったがファラが気にしていない様子だったので深くは追求しないことにした。その間にヴァンフレアの雷撃はおさまりつつあったが、そこにいたヴァンフレアは先ほどまでの人に似せた姿からおぞましい毒蛾の姿へと変貌していた。

「アハハ!アハハハ!アハハハハハッ!!」

 毒蛾の姿になったヴァンフレアは狂ったように笑いながら鱗粉をばらまいている。心なしかその鱗粉にも電流が走ってるように見える。

「アキオス!」

 雷撃の乱射攻撃を上空に逃れて避けていたエミリオがばらまかれた鱗粉をアキオスの羽ばたきで吹き飛ばしていく。

「邪魔する気ぃ……?失せなさいよぉ!」

 しかしヴァンフレアは鱗粉をばらまいたまま雷撃も同時に飛ばしてきた。流石に雷撃までは吹き飛ばせないアキオスは上空に退避せざるを得なかった。

「アハハハハッ!アタシを止めてみなさいよぉ!」

 増長したヴァンフレアは手がつけられなくなっていった。痺れ効果のある鱗粉と強力な雷撃により現状接近戦も遠距離攻撃も封じられていた。

「くぅぅ……」

 将軍の後ろではルミナス、フィア、そしてミディアが防護術を使い残りのメンバーを守っていたのだがそのうちミディアのところには一番多くの雷撃が届いておりかなりの負担となっていた。

「ミディア、つらいなら下がるかい?」

「大丈夫です……」

「あたしが守るから大丈夫だよ……」

 ネレイスも立派な盾―エンジェルティアを構えて準備はしていた。

「……っくっ!」

 しかしミディアが一撃攻撃を止められず後ろに雷撃をそらしてしまった。

「がっ……!」

 その雷撃がランディを直撃し大きく吹き飛ばされ地面を転がった。

「ランディさん!」

「ミディアさん、行って!」

 ミディアに代わってネレイスが雷撃を止める盾役となり、ミディアはランディの方へと駆け出して行った。

「……く……」

 雷撃の威力は計り知れず、ランディの体はまだ大分痺れていた。ミディアの状態が厳しくなっていたのはわかっており、飛んでくるかもしれないことはランディにも想定できていた。

「……僕もまだ甘い……か……」

「ランディさん!しっかり!」

 そこにミディアがやってきた。兜を外すともう泣きそうな目をしていた。 

「……大丈夫だよ、ミディア……」

「ごめんなさい、ランディさん……」

「……君も無理するな……少し休んでいろ」

「はい……」

 ネレイスが防ぎ続ける後ろで2人はしばらく体力を回復させることにした。

「ほらほらほらぁ!アタシを止めてみなさいよぉ!」

「……おいヴァンフレア、いい加減にしろ」

 執拗な攻撃を前に防戦一方の一同であったがそこに思わぬ助け舟が入った。ヴァンフレアの背後から魔界の部隊を引き連れた1匹の獣人がやってきた。見た目は灰白色の鱗に覆われた蜥蜴だが2本の足でしっかりと立ち、右手に煌びやかな剣、左手に立派な鱗で作られた盾を構えている姿は鎧を身に付けた兵士にも見えなくはなかった。

「うるさいわねぇ……人が気持よく……」

「お前の雷撃が離れていても飛んできて迷惑してる」

「知ったことじゃないわサルバシオン。というよりアンタが部隊率いてのこのこ出てくるなんてどうかしてるんじゃないの?」

 横やりを入れられたヴァンフレアは攻撃を止めた。その顔や態度から見てもかなり不機嫌そうだ。

「……陛下の命令だ、仕方ない」

「アタシだって陛下の命令でこいつらと戦ってるの、邪魔よ邪魔邪魔、あんたらもまとめて消し去られたくなかったら失せなさい」

 我慢の限界だったのかついにヴァンフレアはサルバシオンに向かって1発雷撃を放った。それをサルバシオンが簡単に弾き飛ばす。

「……やれやれ……これだから……」

 サルバシオンはあきれた顔を見せながら将軍たちの方を向いた。そしてファラの方を見るとその目つきが鋭くなった。

「……お前も大変だな、サルバシオン」

 視線があったファラはそう返した。恐らくはサルバシオンが自分のことを知っていることを承知であえてしらばっくれることなくその正体を認めるような発言をしたのだろう。

「……全くだ」

 そう言ったサルバシオンは確信したようにニヤリと口元を緩めた。

「……おいヴァンフレア、お前は一旦退け」

「はぁ?あんたな~にいってんのぉ?」

「お前がやらなくてもオレが軽く片付けられる」

「あらぁ、人の手柄横取りする気ぃ?」

「……それ以上の手柄をくれてやる」

 そして不服そうなヴァンフレアに向かってサルバシオンはさらさらと何か手紙のようなものを書いて投げつけた。

「それを陛下に見せれば大手柄だ」

「何よ……アタシをパシるつもり……」

 とことん不服そうな態度を見せていたヴァンフレアであったがその内容を見ると次第に顔には笑みが見え始める。

「あら……なんだ、そ~いうことだったのねぇ」

 ヴァンフレアは小馬鹿にした表情でファラの方を向いた。

「いいわ、この場はアンタにあげる。せいぜい惨めな姿を晒さないように頑張りなさい」

 そしてそう言い残すと飛び去っていった。

「……さて、邪魔はいなくなった」

 ヴァンフレアが去ったのを確認したところでサルバシオンが前に出てくる。

「よぉ、サルバシオン。よく一発でオレだって分かったな」

 そして将軍の隣からファラも1歩前に出ていった。

「……封印されたと聞いたがまさかそっちの軍勢に加担してるとはな」

「まーな、オレなんていてもいなくても変わらねぇような場所についたってしゃーない。オレはネレイス様に恩があるからな、今回はその恩を返す最大の出来事だしなぁ!」

 ファラは鎌を振り回し始めた。戦う気満々である。

「……フン、未だガキのお前がオレに勝てるとでも?」

 一方のサルバシオンも自信満々の表情で答える。しばらく2人のにらみ合いが続いた。

「……まぁ待てよファラ」

 そこに将軍が割って入った。

「ここはオレが相手になってやるよ」

 そしてサルバシオンに向かって刀を抜き切っ先を向けた。

「随分と威勢のいい人間だな。だがお前にオレの相手が務まるのか?」

「ああ、なんてったってオレよりつえーんだからな」

「……ほう、それは楽しみだな」

 サルバシオンも将軍に向け剣を突き立てる。

「さて、じゃあオレらはその外野と相手させてもらおうか」

「……ほう、だが十二使徒直属の部隊だぞ?果たしてそう簡単にいくかな?」

「楽勝だね。だろ?総大将」

「……そうだね。悪いけど一蹴させてもらうよ」

 ファラの突然の振りに内心慌てたがネレイスはエンジェルティアを抜いた。

「……お前が精霊界女王ネレイス……か……。噂に違わぬ力を本当に持っているのか……見定めさせてもらおう」

「望むところだよ!」

 ネレイスは仲間たちを引き連れサルバシオンの背後に展開していた部隊との戦闘を開始した。

「……さて、手出しするものはもういないな」

「1対1で大丈夫なのか?」

「……余計な外野はいらん……これでないとやる気になれん」

「……ふ、まぁそうだな。純粋に勝負をしたいならこうでないとな」

「さて、オレは魔界十二使徒、サルバシオン・ツウェルファー……」

「……生憎オレには“将軍”という通り名しかない。好きに呼んで構わんよ」

「ほぅ、名前ではなく通り名で呼ばれる……か。うらやましいものだ」

「……そうか?」

「……放浪者としてこれ以上ないものだろう」

「……まーな、世界をぶらぶらするのがオレの仕事だしな」

「……羨ましい限りだ」

「さて、向こうも始めたんだ、こっちも始めようぜ」

「そうだな……行くぞ、将軍」

「相手になるぜ、サルバシオン!」

 そして魔界十二使徒と神界八将の一騎打ちも始まった。



←Chapter1     Chapter3→


ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter1~

「……ネレイスさん、どうですか?」

「……無事魔界にやってこれたみたい」

 短い草が一面に広がり木々がところどころ点在する草原地帯。魔界と言えば殺伐とした空間ばかりが印象にありそうだがここは比較的顕界などでもよく見られそうな自然あふれる場所であった。

「……でも流石魔界だね……もの凄い負の気を感じる」

 ただ顕界と全く違うことと言えば薄暗く赤いもやが立ちこめており、強い負の気に覆われていることだろう。特にネレイスにとってはノエルから強力な正の加護をかけてもらっているとはいえ体への負担は非常に大きなものになっている。

「……まずは皆さんの力の見せ所です。その草原地帯は魔界首都を攻めるにあたって拠点としておきたい場所です。ここを制圧しないことには天界、および精霊界からの部隊を投入できません」

「あたしたち個々の力は魔界軍の比じゃないとは言っても流石に全部隊と相手にしていたら厳しすぎるもんね……」

「……恐らく魔界側も近いうちに何かしら動かしてくるでしょう。その前にこの辺り一帯の敵を殲滅させておいて下さい」

「……了解だよ」

「では……ご武運を」

 ミーナからの通信が終わり再びネレイスは魔界の景色を見渡した。もやで多少視界は悪いものの見通しは悪くはない。辺りには魔物の姿もちらほらと見受けられその一部は既に侵入者の存在に気付いているようだ。

「……ミーナさんから。できるだけ速やかにこの辺一帯の敵を殲滅してほしいって」

「了解、じゃあ……派手に暴れまわらせてもらおうか!」

「……ネレイス、お前はまずは下がってろ。雑魚戦相手で消耗させるわけにはいかないからな」

「バックアップは私とフィアさんでやります」

「支援はお任せください!」

 既に臨戦態勢の将軍とラヴィスにルミナスとフィアの聖女2人が支援をする形でまずは出撃していった。

「さぁて、遠慮はしないぜ!」

 まず将軍はあっという間に1匹はずれてぽつんといた狼の目の前まで近づいてその鼻先を自慢の夢宵桜で切り上げた。その瞬間付近一帯にいた仲間の狼が一斉に将軍に向かって飛びかかってきた。

「斬られてから来たって助けらんねぇぞっ!」

 しかし将軍は既にもう片方の手で緑色の刀―風舞蔓を抜いていた。そしてその場で一回転するようにして振り抜くと刀身から発せられた風の刃が将軍の周囲を覆い、飛びかかってきた狼はみな切り裂かれていった。

「……お守りします!」

 将軍の攻撃後の隙をついて攻撃してきた狼はフィアが光魔法を使い的確に処理をしていく。その間に将軍は落日楓、夢宵桜と次々に振り抜き3体を始末する。しかしその間にも将軍に向かって飛びかかる狼の数は増えていく。

「まだまだこの程度……楽勝だ!」

 しかし将軍は涼しい顔で態勢を落とすと持っていた落日楓で上方向を飛び越えていく狼をまとめて斬り払った。さらに斬り払った狼は炎に包まれ近くにいた狼にも燃え広がり始めた。

「一気に蹴散らすならこうした方が楽だよな!」

 その間にもう片方を風舞蔓に持ち替えていた将軍は先ほどのようにぐるりと1回転するようにして振り抜いた。すると今度は将軍を中心に強力な風圧が発生し、狼を吹き飛ばしていくと同時に風にあおられた炎がさらに広がりさらに広範囲の狼を炎に包んだ。

「あちちっ……やべ……少し調子に乗ったか……」

 ただ自分の周囲も火に包まれていた将軍は黙黒橅を抜くと地面に突き立てた。すると周囲の地面から岩が突き上がってきて狼や炎から身を守る壁となった。

「これでしばらくは上からくるヤツだけ捌けばいいな」

 そこから将軍は上からくる狼を的確に斬り払っていった。



「ラヴィス様、行きますよ!」

 ルミナスの体には光が集まっていた。その目の前にいるのは小鳥の群れ。ただ小鳥とは言うものの嘴は鋭く羽は刃のように煌めき鋭い鉤爪まで持っていた。魔物になってしまえば元はどんなに小さく可愛らしい姿であったとしてもこんなにも変わり果ててしまうのである。

「……ルミナスには触れさせんぜ?」

 ただならぬ魔力を感じ取った小鳥の群れは一斉にルミナスに向かって飛んできた。その正面に入ったラヴィスは持っていた立派な大剣を振り抜きまとめて斬り払った。しかしその後も飛んでくる小鳥の数は一向に減らない。

「数だけで押し切れると思うな!」

 振り抜いた後の体勢からラヴィスは剣の先で地面をひっかくようにしながら切り上げた。すると引っかいた部分から砂礫が舞い向かってくる小鳥を次々と撃ち落としていった。

「…………」

 目を瞑り魔法の詠唱に集中しているルミナスだったが、そこに両脇から飛び込んでくる影があった。その影にラヴィスが気づく。

「……!」

 それと同時にルミナスも目を瞑り詠唱を続けたままひらりと身をかわした。

「……流石だな、ルミナス」

 通り抜けた2匹の小鳥はラヴィスが振り向きざまに抜いた銃剣を使い素早く撃ち落としていた。

(伏せてっ!)

 そのラヴィスの耳に詠唱中なはずのルミナスの声が聞こえた。ラヴィスはその声に迷わず従いその場に伏せた。

「天界女王の力を示さんっ!!」

 その瞬間にルミナスの詠唱が終わりラヴィスが伏せてできた空間に迷わず無数の光の矢を放った。ラヴィスの頭の上で撃ち抜かれた小鳥が次々と消滅していった。

「第2波が来ますよ……!」

 2人の周囲には既に次の群れが接近していた。それを見たルミナスの体がキラッと光る。それだけでラヴィスはルミナスの次の攻撃を把握していた。

「……おらっ!」

 ルミナスは地上に降り立つと体の周囲に光の波動を飛ばしていった。そのタイミングでラヴィスはルミナスの真上にある見えないバーに向かって走り高跳びをするように飛び出した。光の波動はラヴィスの背中をかすめるようにして飛んでいき近付いてきていた小鳥の群れを容易く一掃していった。タイミングを間違えればラヴィスに直撃しかねないのだが2人ほどの間柄になれば寸分の狂いも許されないタイミングでの連携も簡単に決められるのである。

「……これじゃあ我がルミナスの支援をしているようなものだな」

「ふふ、ラヴィス様は対集団相手はあまり得意ではないですもんね」

 にこやかに笑みを浮かべるルミナスに苦笑いを浮かべるラヴィス。その様子を見るにまだまだ2人とも余裕そうである。





「……ついに神界が動いたか……」

「はい、いかがなさいましょうか……」

 一方そのころ魔界の宮殿にある一室ではグレモルとバレンシアが魔界王の出方を窺っていた。恐らくは魔界に神界勢力が入り込んだという情報は入っているのだろう。グレモルの見立てでは魔界に対する反逆の疑いがかけられ自分たちの捜索が始まっているのではないかと踏んでいたが今のところそのような動きはない。

「……この部屋には何重もの防衛線が張ってある。向こう側の力ではそう破られることはないが……」

「……レゾーナ様が動いた場合には危ないかもしれませんね」

 この部屋はグレモルによって事前に何重もの対策を施してあった。対策のほとんどは力づくで突破しようとする魔界王を始めとした相手に対して有効なものである。そのためすぐに破られる心配はなかったものの唯一グレモルが懸案事項としていたのが第一使徒である秀麗のレゾーナの存在である。レゾーナは普段あまり人前に姿を現さないがその持っている力は魔界十二使徒の中でも桁違いに高いとされており、また思慮深い側面もあることから相手に回すと穴がない魔界王にとっての切り札的存在である。

「……そのレゾーナは間違いなくこの宮殿から出ることはない、それを考えればレゾーナに我々の捜索を命じる可能性は高いな」

「……破られた場合どうなさるのですか?」

「……考えはある。というより……破られずともその手は取る」

 それでもグレモルには勝算があった。自分たちが逃げ込むのに最適な場所をグレモルは既に選んでいたようである。

「……とりあえずはこの場で戦況を見守る……ということですね」

「ああ、まだ我らが動く時ではない……」

 魔界一の策士、グレモルには余裕の表情が見えた。そのため2人はまだしばらく戦況を見守り続けることにした。



「……陛下、魔界十二使徒各員出撃準備は整いました。」

「御苦労だった、レゾーナよ」

 魔界宮殿の玉座の前で目深にフードを被った女性が跪いていた。彼女がグレモルの最も警戒する秀麗のレゾーナである。表情は窺えないもののその声は澄んだ美しいものであり、その立ち振る舞いからも美しさがにじみ出ているようであった。そしてレゾーナの前、人の姿をしたレゾーナよりもはるかに大きな玉座に座り、そのサイズに見合った巨体でふんぞり返っていたのが今代の魔界王、ベルガザスであった。黒紫色の固い表皮の上にさらに金縁黒色の鎧で身を固め、巨大な体を支えるのにふさわしい四肢を持ち、象のような大きな牙とサイのような立派な角を持ったその姿は力による支配で長らく勢力を拡大してきた魔界をまさに象徴しているようなものであった。

「……ところでレゾーナ、お前はどう読む?」

「……グレモルとバレンシアのことですか?」

「……ああ、神界勢力が攻め込んできた……これは即ち……」

「グレモルが呼び込んだ……そう思うと」

 その魔界王ベルガザスがやはりグレモルの動きを警戒していた。

「……姿を現さなかったあたり黒の可能性が高いでしょう……しかし神界勢力の攻め込み方があまりにも強引すぎます。それも工作だと言われればそうかもしれませんが……このタイミングで陛下が直接グレモル、バレンシア両名の確保に動くのは得策ではないでしょう」

「何故だ?」

「……捜索が始まったことが悟られてしまえばグレモルにも次の手を打たせる口実を与えます。恐らくグレモルはそれを誘っている可能性が高いでしょう。迂闊な行動は避けるべきだと思います」

 しかしレゾーナはその対処には慎重だった。レゾーナもバレンシアほどではないが付き合いもありグレモルのことは理解をしている。この時にはグレモルとレゾーナの間で駆け引きが始まっていた。

「……ですのでグレモルたちのことは私が内密に探しておきましょう。陛下はひとまず神界勢力の排除に動いてください」

「……そうだな……ひとまずサルバシオンとヴァンフレアを向かわせろ。お手並み拝見だ」

「畏まりました、では……」

 最後にベルガザスはそう命じてレゾーナはその場を後にした。

「…………精霊界女王……ネレイス……その姿、人となり……気になるな」





「……一通り片付いたか?」

「そのようだね」

 将軍たちの活躍によりひとまず周囲一帯の敵性存在は一掃し終えていた。

「……ミーナさん、ひとまず片付いたよ」

「はい、お疲れ様でした……」

 早速ネレイスはミーナに連絡を入れていた。

「……魔界の動きはどう?」

「……特別大きな動きはありませんが……魔界宮殿周辺において早速守りを固める動きが出始めているようです」

「……守りを固めている?攻めにくるんじゃなくて?」

「はい……」

 ミーナからもたらされた情報はネレイスにとっては虚をつかれたようなものであった。

「ねぇランディさん、これどう思う?」

「……僕らの出方を窺っているんだろうね。恐らくはこの人数で強引に突入してきたことに対して違和感を持っているんだろう。幸い魔界側の戦力は圧倒的だからね、仮にこちらが準備を整えたとしても守りさえ固めておけば優位を保てる。妥当な作戦だろうね」

 ランディは冷静にこの動きを様子見と捉えていた。

「しかも僕らの作戦ではこれからここに天界と精霊界の部隊も送られてくる。そうすれば魔界には天界も精霊界も攻め込む口実ができるからね、戦況としても立場上もまだまだ向こうが有利なことに違いはないだろうね」

「……そっかぁ」

「……それでも僕らのやることに変わりはない。天界、精霊界の部隊がなければ戦力差は絶望的、いくら僕ら個々の能力が高いとしてもそれを覆すのは不可能だろうからね」

「……では天界および精霊界からの部隊投入に向けて準備を開始します。皆さんは少しでも体を休めてくださいね……」

 ともあれ今後の作戦に変更がないことを確認してミーナは通信を切った。

「……あれ……これは……?」

 SkyBlue待機地点の前方に展開していた魔界軍の部隊の中に不穏な動きがあったのを伝えることを忘れて……



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プロフィール

ラヴィス

Author:ラヴィス
パソコン使えないくせにブログに手を出した愚か者。
……温かい目で見てもらえるとうれしいです。

毎週月曜に大小の違いはあれど更新中です。

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