ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part3

レゾレール湖 AM10:30

「ブレイジンブレイカー!!」

右手に持っていた剣が赤く燃え上がり、それを魚人のような魔物3体に向けて振り下ろした。振り下ろした剣はさらに火柱を上げ、魔物を完全に焼き尽くした。

「こんなところでしょうね。……じゃあ次に行きましょう!」

炎の剣であっさりと魔物を一掃した女性は七色に輝く指輪をはめた手を天に上げた。するとすぐに純白の体に羽をもつ生物――ペガサスが現れた。

「お疲れ様です……。ではどちらまで……?」

「一旦王都に戻りましょう。昼食をとりたいので……」

「分かりました、乗ってください!」

女性はペガサスにまたがると南の方角へと向かった。



「ご主人様……今日も来るのでしょうか……?」

「ラファエルのことです、もう既に南部へと向かっているでしょう」

「しかし……高地と森林という騎馬兵が苦手な地形が重なったところですよ……?」

「ラファエルの有能さはいつも監視されている身としてよく分かっています。あの方が指揮をしているのですから心配はいりませんよ」

ペガサスにまたがり空を飛んでいる女性。彼女こそが先ほど城を抜け出し、親衛隊が捜索をしているここシュヴァレスク王国の正当なる王女、ミント・アーシアである。普段城で着るものとは意匠の違う淡い緑色のドレスに身を包み、綺麗なブレスレットと白銀のティアラといかにも王族ですという格好をしているが、先も魔物をあっさりと片付けていた通りかなりの腕を持っている。

ミントがこうして城を抜け出し、魔物退治を始めたのはおよそ8カ月ほど前のことであった。その時には既に大陸内各所で魔物の活動が活発になりつつあり、ここシュヴァレスク王国の王都レゾンシュヴァルト周辺でも何件か魔物の発見報告が挙がっていた。魔物に対抗するための自警団のような組織もできてきたが、魔物との戦いの中で犠牲となる者も少なくはなかった。ミントはこのことに心を痛めていたのだった。
“国の礎である民を守るのが王である。安全な城の中で政をするだけが王ではない、時には民を守るために自らが最前線に立つことも必要なはず。魔物の被害が出ている今、私の力を民のみんなのために使いたい”
そう思ったミントは両親の猛反対を覚悟でお願いをしたのだが、
“次の王たる者として国のことをもっと知る必要がある。実際に自分の目で見て得られることは城の中で得られるものの比ではないくらい多い。今回のお前の行動は国中を回って各地の様子を見て学ぶ絶好の機会になるだろう”
と言い、父王はこれをあっさりと承諾してくれたのだった。そして母王妃も戦い方を教えるということで承諾してくれたのだった。
 
 彼女の母はレイシャント公国の近衛騎士団、白羽騎士団の副団長であり、機動部隊の主力である第6部隊長も務めていた生粋の軍人であった。ミントの父とはじめて知り合ったのは大陸内の5つの国の王が集まり今後の大陸の平和と繁栄について話し合う大陸内代表者会議の場であった。その年はシュヴァレスク王国が会場となっており、会場にやってきたレイシャント国王の護衛に来ていたミントの母を一目見て、その美しさと立ち振る舞いからミントの父が一瞬にして一目惚れをしたのであった。会議終了後ミントの父は真っ先に彼女の元へ行き食事のお誘いをした。しかし“陛下の許しなきことはできません”と軽くあしらわれてしまった。しかし彼はあきらめずその後も国へと帰った彼女の元に何度も何度も食事の誘いをかけ続け、ついに翌年のレイシャントで開かれた大陸内代表者会議の際にレイシャント国王とその他数名の護衛を同伴という条件でOKをもらえたのだった。
 その食事会の場に彼は1人で現れた。そこでその場にいた国王から護衛たちを含むレイシャントの者々みんなの前でどうか彼女をお嫁にもらえないかと相談したのであった。あくまで陛下のために尽くしたいと言った彼女ではあったが内心ではかなり揺れていた。これまでは自分は軍人として見られてきていたが、彼は自分のことを魅力ある女性として見てくれた。それが彼女にこれまで持ったことのない感情を与えていたのだった。その感情を押し殺していったのが分かったのか、レイシャント国王は
“君だって軍人である以前に女性なんだ。これまで私のためによく尽くしてくれた。これまでよく尽くしてくれたからこそ君には幸せになってもらいたい……彼は立派な為政者だ、君を必ず幸せにしてくれるだろう。もし君が軍人でなく一人の女性として今の告白を聞いたら……君はどうする?”
と、彼女に言葉を投げかけた。その1月後、彼女は白羽騎士団を勇退し、国王及び白羽騎士団の面々に見送られながらシュヴァレスクに嫁ぎ彼と結婚。そしてめでたくミントを出産したのだった。

 そんな母の武芸の才も受け継いだのか、みるみるうちにミントの剣術は上達、ついには城下の闘技場にお忍びで乱入し、大男ども相手に10連勝をして追い出されたという噂ができてしまうほどの実力をつけたのだった。さらには母がレイシャントから嫁入りした際に連れてきた愛騎エンリュケの操り方も2日でマスター(エンリュケが十分訓練されていたというのもあるが、これは異例の速さ)し、装備面では準備が整った。
 そして初めて失踪をした日、彼女は城下にいた。ペガサスで抜け出すにはどうしても城下を通らなければならない。そこでミントは最初に城下を回り、国民に事情の説明と口止めをお願いするという地道な作業をしたのだった。ミントの努力と城下の人々の情報ネットワークによりその話は急速に拡大、今では城下の上空をペガサスで飛んでも何も気にされなくなり、城下に行けば一般市民のように親しく接してくれるようになったのだった。ミントの失踪する日々の裏にはこのような努力があったのだった。

「さ、そろそろ王都に着きますよ……!」

ミントを乗せたエンリュケはそう言うと高度を徐々に下げていった。立派な城壁に囲まれたシュヴァレスク王都レゾンシュヴァルト。その東門上空からミントとエンリュケは入っていった。




ども、宣言通り月曜に後日談編を上げることができました!
……随分と過去の話をしてましたが気にしないでくださいね(というかあそこを書かなければもっと早くできたような……)
まま、では今回は以上です。それではまた次回~




あ、実はこっそりSkyBlueメンバーの所にレインと将軍を追加しておいたんだよね……気付いていたかな……


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まとめ【ミント王女の失踪日記】

レゾレール湖 AM10:30「ブレイジンブレイカー!!」右手に持っていた剣が赤く燃え上がり、それを魚人のよ

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