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ブログ開設3周年記念特別SS 魔界鎮圧作戦 ~Chapter5~

「……報告は以上になります」

「御苦労様です……」

「……あの悪ガキの仕業だったか……」

「……封印から解き放たれていたわけですね……」

 魔界宮殿の玉座の間にいたベルガザスに魔界の部隊から報告が届いていた。“魔界十二使徒ファラが存命、神界勢力に加担”という報告はベルガザスだけでなくレゾーナにとっても衝撃的な内容であった。

「……悪ガキの手筈ならこの強引な奇襲も頷ける……」

「はい、ですがやはり……グレモルがこのことを把握していたのでしょうか……」

「……当然ヤツの指示で動いていたのだろうよ」

 遠い昔に封印されており、その存在すらベルガザスは忘れていた。魔界十二使徒と言いながら常に1人欠けている事実をベルガザスや魔界十二使徒たちは軽視しすぎていたようである。

「……そして……反逆者グレモルの潜伏箇所についてですが……宮殿内に怪しげな部屋があることを確認しました」

「そうか……では早速叩き潰しに……」

「……それはいけません、その部屋には何重もの術式が施されておりそのほとんどが力によるこじ開けを防ぐものです。陛下では恐らくグレモルを刺激しかねません。やはりここは私にお任せください……」

「……グレモルめ……」

「……私は速やかに攻略に入ります、陛下は……」

 レゾーナがベルガザスに対策を練るように提言しようとしたところで再び魔界の伝令が飛び込んできた。

「レゾーナ様!陛下!……神界勢力に新たな動きが発生!」

「……何がありました?」

「天界、および精霊界からの部隊が派遣されてきた模様。魔界の部隊との交戦が起きているようです」

「……また先に向こうが仕掛けてきたようですね……」

 天界、および精霊界の部隊投入の報はすぐに知らされていた。というのも

「これで我々も天界、および精霊界に攻め入る口実ができたわけですね……」

 これまでは神界勢力単独の行動であったために四界自体を直接攻撃しにいくことはできなかった。しかし天界と精霊界から部隊が派遣されてきたということは天界、精霊界双方も魔界に対して宣戦布告をしてきたことになる。こうなれば当然魔界の部隊は天界も精霊界も攻撃できるということになる。

「……早速精霊界を潰しにかかるぞ」

「…………お待ちください」

 逸る気持ちを隠しきれないベルガザスは腰を上げていたがレゾーナは冷静にそれを制した。

「……少なくとも陛下御身が精霊界に出向くようなことはお控え下さい」

「何故だ?」

「……精霊界を守るために神界本体も精霊界の防備に入ることでしょう。恐らくは魔界勢力の戦力分断を狙った誘いだと思います。今戦力が一番薄いのは恐らくこの地に来ている神界勢力……魔界勢力を多く派遣すれば派遣するほど魔界に攻め込んでいる神界勢力を有利にすることとなるでしょう」

 レゾーナは戦力の分散を目的とした策であると踏んでいた。

「だが何故我が精霊界に出向いてはいけないのだ?」

「……神界統治者が迎え撃つ可能性が非常に高いのです。精霊界への部隊の派遣は慎重にすべきです……」

「……では何をすればいいのだ」

「精霊界に派遣する部隊より天界に派遣する部隊の比率を高くしてください、そして精霊界に派遣する部隊には斥候担当を用意してできるだけ速やかに戦力把握をした方がいいと思われます。まだまだ魔界勢力は数の上で圧倒的優勢なのですから焦ってはいけません……」

 レゾーナが冷静に状況を分析し提言するとベルガザスも渋々腰を下ろした。

「……それと……サルバシオン、およびヴァンフレアが破れたと……」

「……それは本当か?」

 さらに続けてもたらされた報告に特別反応を示したのはレゾーナであった。

「……所属部隊からの報告ですので間違いないかと……」

「……ほう、魔界十二使徒使徒クラスをこうも容易く退けるか」

「……それだけ神界勢力には最大戦力を集中させているということでしょう」

 ベルガザスは意にも解せぬ風であったがレゾーナには多少焦りの色が見られた。

「レゾーナ、次はトロスニアとゼクトールをぶつけてみようか」

「陛下!そう簡単に魔界十二使徒を……!!」

「……レゾーナ、お前がいれば神界勢力とはいえ敵ではないだろう?それにまだまだ奴らの戦力を計らねばならん」

「……使い捨てるおつもりですか?」

「……必要とされてるのは結果だ。お前と違いあいつらはまだまだ大きな結果が残せていない……」

「…………」

「おいお前、トロスニアとゼクトールを向かわせろ。結果を残してこいとな」

「……はっ」

 伝令は2人丁寧に頭を下げるとその場を後にしていった。

「……レゾーナ、お前は早くグレモルを潰してこい」

「……畏まりました」

 そしてレゾーナもベルガザスの指示を受けてその場から立ち去った。



「……兄上、どうやらサルバシオンとヴァンフレアは破ったようです」

「そのようだね、流石は神界勢力だ」

 同じころグレモルとバレンシアも同じ情報を取得していた。

「……それと……天界と精霊界の部隊も参入してきたと」

「部隊を指揮しているのは誰だろうか……」

「天界勢力の方は……十二聖女を送り込んできたようですが……精霊界勢力の方は八理の者ではない……私も知らない者です」

「まぁ仕方ないか、八理クラスの者は精霊界の防備をしなければならないだろうしな……」

「……陛下は……レゾーナはどう動くでしょうか」

「……精霊界にどれだけの数で攻め入るか……だろうね……恐らく最初は様子見をするだろう」

 ここまでのグレモルの読みはレゾーナの考えと一致していた。

「……ただ恐らくレゾーナは読み違いをしている」

「そうですか?」

「……精霊界には神界の守備隊も派遣されているだろうと思い込んでいるはずだ……さらにノエル様も」

「ノエル様が精霊界に?」

「ああ、ただそんなことはありえない……ノエル様は神界で魔界からの干渉を防ぐ立場にあるからね」

「……つまりレゾーナ様が想定しているほど精霊界の守りは強固ではない……と?」

「……ネレイス様たちにとってはできるだけ多くの魔界戦力を削ろうとしているからね。恐らく精霊界の守りが薄いとなればそこに戦力を集中させはじめるだろうね」

 グレモルの読みはレゾーナのさらに上をいっていたようである。

「しかし……精霊界は大丈夫なのでしょうか?」 

「……分からない。ただ……自信があるってことなんだろうね……」

 精霊界の防備事情についてはグレモルも想像はついてなかったが、後に精霊界防備にネレイスが練った“2つの策”の存在にグレモルは気付くことになった。

「……ん、そして来たようだ」

「もしかして……」

「レゾーナだ、この部屋を嗅ぎ付けたようだね……」

 レゾーナがこの部屋の攻略を開始したことがグレモルにも伝わってきた。じきにこの部屋も安全ではなくなるだろう。

「バレンシア、準備を始めていてくれ」

「分かりました、兄上」

「……さて、この術式がレゾーナ相手にどこまでもつか……」

 そう言いながらもグレモルには余裕の表情が漂っていた。





「チィ、埒があかねぇ」

「3方向から攻められてるからな……おい、後ろは大丈夫か!?」

「大丈夫よ、囲ませはしないわ!」

 ネレイスたちは攻めあぐねていた。完成していない陣を破りにかかったものの魔界の大型獣人種を中心とした守りに秀でた部隊の多さからなかなか突破するまでにはいたらず、敵の陣形もネレイスたちを包囲するような形に変形し始めていた。なんとか囲い込もうとする部隊は最後方で腕を振るっていた双神リンデたちの活躍により防ぎ続けていたが、徐々に狭められはじめているようであった。

「……ネレイス、これはよくねぇぞ」

「……こうなったら……もう突貫しかないよね」

「……行けるのか?」

「……ガラティーンを放つ……そこでできた穴を通り抜ける」

「……塞がれる前に……か」

「そそ、いつもやってるあれだよ」

 そう言うとネレイスの背中の羽が変形し大きな透明の花のようなものになり、光が集まり始めた。

「リンデ、もう少し凌げ!エミリオ、ヘリオス、横から来るのは頼むぞ。後はネレイスを守れ!」

 ラヴィスの号令のもと精霊界砲を放つネレイスを全力で守っていく。

「……いいよ……!」

「ネレイスの前方から離れろ!」

 ラヴィスがそう言うとネレイスの正面には魔物の群れが広がった。

「精霊界砲……ガラティーン……発射!!」

 その群れに向かい思いっきり光を解放した。破邪の光砲が魔界の陣に一筋の道を作っていった。

「みんな、行って!」

 ネレイスのその号令でみんな一斉に突破を始めていった。背後を守っていたリンデがネレイスの脇を走り抜けていくと背中からの圧力を強く感じた。

「はぁぁぁっ!」

 その圧力の元となっていた魔物をエミリオは一気に吹き飛ばした。

「さ、早く行って!」

「ありがと、エミリオさん!」

 ガラティーンを放った後すぐにネレイスは羽を変えると精霊界砲の中を突っ切れなかったファラを抱えて飛んでいった。

「はぁぁぁっ!」

 エミリオはもう一度槍で薙ぎ払い敵を吹き飛ばすとネレイスの後を追うようにして飛んでいった。

「……もう少し!」

 放たれた精霊界砲の中を駆け抜けていたラヴィスは陣の後方にまで達していた。もう少しで陣を突破することができる。

「……ち……向こうもリカバリーが早いか……」

 しかし精霊界砲の効力が弱まってきたところで魔界勢力も最後方の穴を修復し始めていた。このままでは走り抜ける前にまた塞がれてしまいそうであった。

「……任せろ!」

 その時ラヴィスの横をヘリオスが駆け抜けていった。

「道を開けろっ!」

 左右から迫りくる魔物の群れを切り裂き道を作っている。そこをラヴィスたちは駆け抜けていった。

「エミリオ!」

「……そうね!」

 最後にエミリオが飛び越えていくと駆け抜けていったラヴィスたちの背後を守るように再度敵の部隊に攻勢をかけた。

「ネレイス、ここは引き受けた」

「このまま背後を突かれ続けるのは心配でしょ?私たちがここで抑えとくわ!」

「ヘリオスさん!エミリオさん!」

「……振り返ってる暇はない、ヘリオス、エミリオ、そこは任せた!」

 一度振り返ったネレイスを制する形でラヴィスはそう言った。このまま全員で相手にするのでは陣を突破した意味がない。誰かが足止めをしなければいけなかったのだが、機動力に勝るヘリオスとエミリオは殲滅後の復帰も早くできる。2人への負担は大きくなってしまうものの、少しでも戦力を残しておきたいネレイスたちにとっては最良とも言える選択であった。

「……エミリオ、どれくらい行けそうだ?」

「これくらいの相手ならまだまだいくらでも行けそうよ」

「そうか……エミリオ、援護を頼むよ」

「任せて、行くわよ!」

 相手は何体いるかは分からないもののその勢いは全く引けをとらないものであった。





「……殲滅完了です」

「……おう、ご苦労だった」

 将軍のもとに聖女が報告に来ていた。天界の部隊を指揮していたリーダー格の聖女は緋色の髪をなびかせ、ナイトランスを携えたその姿は聖女としては異色な姿であった。

「……私は天界より派遣された部隊を率いる第6聖女、ヴァレリア。こちらでは貴殿らの指示に従うよう動けと言われている」

「オレは将軍と呼んでくれ。今は訳あって単独行動中だが本体はすでに大分先に行ってるだろう……これから本体と合流しに行く」

「承った」

 ヴァレリアが合図を出すとその後ろに天使の部隊が綺麗に整列した。さらにヴァレリアの横にもう一人聖女が立つ。

「……そしてもう1人……副官を務めている第7聖女のラヴェンナだ」

「よろしくお願いします」

 紹介されたラヴェンナが丁寧にお辞儀をした。ゆったりとした法衣に身を包んだ姿は将軍もよく知る聖女の姿に近いものであった。

「十二聖女が2人も来たのか……」

「天界にはエリミーヌ様とウルスラ様がいらっしゃる。あのお方がたがいらっしゃれば天界は安泰だ」

「こちらにも予定以上の部隊が派遣できたのもエリミーヌ様やウルスラ様のおかげです」

 天界から派遣された部隊は当初予定されていたものよりも多く派遣されていた。

「オレらとすれば心強い限りだ」

「……我ら天界の部隊は魔物相手に遅れは取らぬ。戦力として十分頼って頂きたい」

「そうだな、個々の力は優れてるが流石に多勢に無勢だ。さっきみたいな集団相手は頼らせてもらうぞ」

 そう言った将軍のもとに今度は美しい水の体を持つ精霊がやってきていた。

「……精霊界の部隊、全員異常ありません」

「ご苦労だった、お前が精霊界の部隊の指揮官か?」

「はい、清流のリヴィエールと申します。……精霊界はどうしても防備に戦力を割かざるを得ないために私のような未熟者と急遽結成された混成軍で非常に心許ないですが……」

「……まぁ仕方ないさ、そんな中でも来てくれて感謝するぜ」

 精霊界は八理守護精霊に八理竜を精霊界の防備にあてるとネレイスは言っていた。当然各地の正規軍は八理守護精霊について戦うことになり、数の多い精霊たちとはいっても魔界侵攻部隊に戦力はなかなか割けないのは当然であろう。

「……しかし清流のリヴィエール……聞いたことのない名前だな」

「水の八理守護精霊、エメローネ様に仕える一介の精霊です……エメローネ様の指名でこんな大役を任されるなんて……」

「……それなりに手腕はあるってことなのだろう?」

「そんなことは……まだネレイス様のお顔すら拝見したこともないような私が何故……」

 リヴィエール自身は水の精霊たちの間ではそこそこ名の知れていた存在ではあったものの精霊界全体ではまだまだ無名の存在であったと思っていた。

「……オレには分かった気がするな」

 しかし将軍はリヴィエールを見たところでおおよその察しがついたようである。

「……ま、ネレイスに会えば教えてくれるだろうよ」

「……はい」

「ひとまずリヴィエール、それと精霊界の部隊は本体と合流前に何かあるとネレイスに顔向けができん。無理はしないことと負の気が影響しだしたらすぐに報告してくれ」

「分かりました」

 丁寧なお辞儀をするリヴィエールの後ろには精霊界の部隊がずらりと整列していた。姿形はばらばらで属性も非常に偏りがあるように見えるがそれがリヴィエールの統率の元1つの部隊として機能している。リヴィエール本人は気付いていないがそれほどの実力があるということなのだろう。

「……よし、じゃあ行くぞ。大丈夫だとは思うがオレらが遅れて本体がやられたら話にならんしな」

「そうだな」

「はい、行きましょう」

「出撃だ!」

 将軍は再度部隊の様子を確認し、そして号令を出した。その後に続いて天界、精霊界双方の部隊が移動を開始した。


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