ミント王女の失踪日記 ~後日談編~ Part4

王都東部 PM0:30


 王都に戻ってきたミントはたくさんの野菜が作られている広大な畑の近くに降り立ち、近くにあった一軒の家の中へと入って行った。

「おばば様、いらっしゃいますか~」

「おお!!これはこれはミント様。さあさ、お上がり下され……」

 この家の家主は見た感じ80を過ぎた老婆であった。ミントの突然の来訪にも全く驚くことなく快く中へと通してくれた。

「そろそろ来て下さる頃だと思って御馳走用意してたんじゃ。ささ、遠慮なく食べて下せぇ……」

「ほんとたびたびすみません……ではいただきます!」

 ミントの前には玄米ご飯、豆腐のハンバーグ、ホウレンソウのおひたし、そして味噌汁とどう見ても王族の食事とは思えない質素なものが並んでいた。しかしそれをミントはおいしそうに、そして嬉しそうに食べている。

「おばば様の作った豆腐ハンバーグは本当においしい……♪」

「ふぇっふぇっふぇっ……ミント様が一番おいしそうに食べてくれるものだからのぅ、こちらも作り甲斐があるってものじゃ」

 ミントが今食べているこれらの料理はすべてこの老婆のお手製であり、食材のほとんどは外の畑で自分で育てたものである。ミントがおばば様と言って慕うこの老婆は実はここシュヴァレスク王国内でも非常に有名な農家であり、シュヴァレスクの宮廷料理人もその品質の良さを好み直接買い付けに来るくらいである。
 宮廷での食事に老婆の作った作物が使われていると知ったミントが直接会ってみたいと思い立ち寄ろうとしたところ、丁度畑を荒らしている魔物と遭遇し、それを追い払ったお礼として昼食を御馳走になって以降、その味が気に入ったミントが足繁く通うようになったのだった。最初はこの老婆もミントの突然の来訪に大変驚いた様子であったが今ではまるで自分の孫のように接するようになり、“ミント様が女王様になってもまだまだ元気に農作業を続ける”と意気込み、ますます農作業に精を出すようになっていたのだった。

「御馳走様でした。今日もありがとうございます」

「気にしなくていいんじゃよ。……ああそうだ、この前街で聞いたことなんじゃが……王都のあちこちで虫がたくさん出てきてるとかいう話があったんじゃが……」

「虫……?農作物を食い荒らしたりする害虫じゃなくて……?」

「その辺はよく分らんのじゃが……街の人が言うことだから……」

 そしてミントはただ昼食を御馳走になるためにここに来たわけではない。この老婆は毎朝王都の中心部まで作ったものを売りに来ているため、客との会話から国内、時には国外の情報を仕入れることができるのだ。ミントはこの情報をもとにして怪しい場所の調査や魔物の撃破などを行っている。今日撃破した魔物もこの老婆が仕入れた情報がもとになっていた。

「……デスサイスを警戒しないといけないかもしれないわ。おばば様も赤っぽい大きなカマキリには気をつけてくださいね……」

 ミントの過去の経験と父王から見せてもらった魔物被害の報告書からだいたいの原因は分かったようだ。今回の老婆の情報でこの王都周辺にデスサイスというカマキリ状の魔物が潜んでいることを突き止めた。

「おばば様、情報ありがとうございました。そろそろ私行きますね……」

「ミント様も気をつけて下され……」

 これは早急に手を打たないと一般市民に危害が及ぶ可能性がある。そう判断したミントはこの後の仕事を手早く終わらせ、その後この件に関して調査をすることを決めた。ミントは老婆に丁寧にお礼を言い外に出ると、家の外で老婆が作ったニンジンをおいしそうにかじっていたエンリュケにまたがりすぐに王国領南東部のミング熱帯雨林区へと向かった。


ミング熱帯雨林区 同時刻


「みんな、大丈夫か……?」

「我々は大丈夫ですが……馬が少々……」

 その頃副隊長ラファエル率いる王女親衛隊の面々は既にミング熱帯雨林区の入り口付近に着いていた。しかし途中の山脈地帯で馬の方はだいぶ参ってしまっているようだ。もちろん親衛隊員自身もこの蒸し暑い環境にはあまり慣れていないようで、立ち振る舞いには出ていないが顔にはやはり疲労の色が現れていた。

「……馬を少し休ませよう。ついでに我々も昼食にしようか」

「はっ!」

 親衛隊員は馬から降り、鬱蒼と茂る木々の合間に腰を下ろした。昼間であるがやや薄暗く、じめじめとしたあまり居心地のいいところではなかったが親衛隊員はいつものようにゆっくりと体を休ませた。

「しかし隊長、今回の相手は何者なのでしょうか……」

「熱帯雨林区なんだから……植物系や昆虫系ではないのか?」

「……正直虫はダメなんですよね……」

「姫様を守るためには苦手だとか言ってられないぞ」

「甲虫系だったらいいかもしれませんが……カマキリとかクモが相手だったら……うぅぅ……想像しただけで震えが止まりません……」

 ただラファエルは今回のこの出撃に不安を感じている部分があった。山間部に森林地形と馬には不利な環境、さらには視界が悪いという点もそうであったが、“戦う相手”にも問題があった。親衛隊員の中には情けない話虫が大の苦手だという者が少なくなかったのだ。密林地帯だということを考えれば昆虫系の魔物がターゲットもしくは途中で出てくることが考えられるので、親衛隊員の間ではいまひとつ士気が上がりきっていなかった。これが悪い方向に行くのではないかとラファエルは考えていたのだった。

「さ、馬ももう大丈夫そうだ。姫様がこちらの方に来るのではないかという情報がある、それを信じて姫様を探しに行くぞ……!!」

「はっ!!」

 そんな不安を抱えたままラファエルは親衛隊員に号令をかけ、熱帯雨林の奥へと進んでいった。




どうも、ラヴィスです。先週木曜日は金曜日課で農場実習だったために疲れてて更新できませんでした……
よかった~、ほぼ毎週更新って言っておいて

まま、それはさておき……これから毎週のようにレポート課題が出てるもので忙しいんですよね……でも月曜の更新は続けていきますよ!!
あと用語集とかの細かい更新も随時行っていますので確認していって下さいね……?そろそろフィアの紹介を書こうと思っていますから……

それではまた次回の更新をお待ちください……


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まとめ【ミント王女の失踪日記】

王都東部 PM0:30 王都に戻ってきたミントはたくさんの野菜が作られている広大な畑の近くに降り立ち、近

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パソコン使えないくせにブログに手を出した愚か者。
……温かい目で見てもらえるとうれしいです。

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