コワレタセカイ ノ モノガタリ ~ヒゲキノセカイ プロローグ~


「じゃあ行ってくるよ」

「ああ、気を付けて行って来い」

 神界の転送装置前で出撃前のネレイスをラヴィスが見送っていた。

「……いよいよあたしの出番かぁ」

「まぁ残り2箇所のうちどちらかは当然お前が出ることになるだろう」

「だよねー」

 今回の目的は戦闘では無く、探索である。それも特別危険な個所だとされているところである。“コワレタセカイ”と呼称されるそこはこれまで2箇所、それぞれ将軍とラヴィスによって探索が行われた場所であり、そのいずれもが世界の原型をとどめていないほどまでに崩壊が進んでおり、そこで何が起こるか一切分からなかった。今回ネレイスが訪れる事となったコワレタセカイはネレイスが調査の為派遣した精霊達から情報がもたらされたのであった。あらゆる世界にいるとされている精霊たちを介した精霊界の情報網は驚異的なものであるのだが、その情報網をもってしてもこの世界の特定には相当の時間を要したのだからこのコワレタセカイがいかに長い時の中で埋もれ忘れ去られていた場所なのかがうかがい知ることができた。

「ところでランディさんは?」

「ん?そういや見てないが……どうやら神界からも外しているらしい」

「独自に調査を進めてるのかなぁ」

「……まぁ世界の謎を解き明かすようなことをしてるわけだからな、あいつとしても楽しくて仕方ないんだろ。全く……あいつが行けって言ったのに出撃時に顔を出さないとか薄情なやつだ」

「まぁまぁ……」



「ランディさん、コワレタセカイの座標が1つ特定できたよ!」

「そうか……」

 出撃の前日、ネレイスはランディのところへ報告に行っていた。その時ランディは古ぼけた古文書の山を片端から見ている最中であった。

「……ネレイス、出撃をお願いできるかい?」

「え?うん、別にかまわないけど……」

「助かるよ。僕はちょっと調べ物ができちゃってしばらくはそっちにかかりきりになりそうだから」

 ランディは書物の山から目を離さずに言った。そこまでして調べてることにネレイスも興味があったが書物にかかれている内容は古代言語のようなものでありすぐに把握するのは困難であった。

「……とりあえずこれだけは言っておくよ……十分に気をつけて」

「え?あ……うん……」

 そう言って再び古文書の解読に戻ったランディにネレイスはこれ以上声をかけることはできなかった。



「座標軸C685-11……っと」

 ラヴィスが見守る中ネレイスは転送装置に座標軸を入力した。入力された座標軸はいつもより長めの読み込み時間がかかったが無事に認証されたようである。

「……ふぅ……転送!」

 そして軽く一息ついてからネレイスは転送装置を起動させた。やはり通常の転送とは違いやや時間はかかったようであったがそれでも目的の座標へと送り届けて行った。





「……クルシイ……タスケテ……」





「ふぅ、到着……っと」

 ネレイスが降り立ったのはどこかの市街地のようであった。石畳が敷かれ多くの民家のようなものが見える。

「……あれ……?」

 それだけ見れば他の世界とはなんら変わらないはずである。だがしかしこの世界は明らかにおかしかった。

「……何……?この靄みたいな……」

 辺り一面に緑や紫の靄のようなものが立ち込めていて視界は非常に悪かった。あちこちに苔とも黴ともとれるような物体で覆われているということは……

「……!!げほっ!ごほっ!」

 その瞬間にネレイスは苦しみだした。今この空間を漂っているこの靄は恐らく胞子や菌糸の類なのであろう。精霊の加護を有しているネレイスであったが空気中の異物を抑えて呼吸することは生身の状態ではできなかったため吸入してしまった粒子が呼吸を妨げてしまっているのであろう。さらにネレイスの体にも苔のようなものが生え始めてしまっていた。

「……ラヴィ……ス……」

 そのままネレイスはその場に倒れ伏した。胞子を巻き上げ倒れ込んだネレイスはそのまま動かなくなってしまった。










「しっかり!しっかりしてください!ネレイスさん!!」

「……ん……」

 ネレイスが目を覚ましたのは神界宮殿内にある普段ネレイスが体の状態をチェックしたり万一の際に転生が行われる部屋であった。その普段転生台と呼ばれる場所の上で泣きそうな顔のノエルが心配そうに叫んでいるのがまず目に入った。

「ノエル……様……?」

「!!ネレイスさん!よかったぁ……」

「……あたし……やっぱりあのまま……」

 おぼろげに見た先の世界の光景と自分の身に起きた異変。そして今置かれている状況から察するに自分はあの世界で死んだ、訪れて10秒もしない間に胞子に侵され死んだものだと思っていた。

「……ラヴィスさんが血相変えて担ぎ込んで来たので何事かと……」

「……え……あたし死んだんじゃ……」

「……起きたか……全く……」

 状況がまだいまいち呑み込めていないところに担ぎ込んできたというラヴィスがやってきた。ぱっと見では平静さを保っているように見えたが、ネレイスにはラヴィスが相当慌てており心配してくれていることが分かっていた。

「……何があったの……?」

「……それはこっちのセリフだ。お前が転送されてったのを見送って立ち去ろうとしたら突然胞子まみれのお前が送り還されてきたんだよ……」

「……そうだったんだ……ってその胞子吸いこんだら危ない……!」

「……メリアス様からのメディカルチェックは受けた。問題ない……それにお前の体についていたのはまだ胞子を出さないやつだ。だから宮殿内にその胞子が飛散していることもない」

「そっか……よかったぁ……」

 もし仮にネレイスが胞子をばらまきながら神界へと戻されていたら今頃宮殿内は大混乱に陥っていたであろう。そうはならなかったことにとりあえずほっと胸をなでおろした。

「とりあえずネレイスさんの体についていた胞子はサンプルとして採取しました……しばらくはこれを分析して今回行った世界の手掛かりを探ろうと思います……」

「ひとまずお前は今は療養してろ……」

「うん……ごめんね……そしてありがと」

 こうしてひとまずこの世界の件は一旦情報収集待ちとなった。足を踏み入れただけで死に至るような世界はこれまでに例がなかった。それほどまでに今回のコワレタセカイが危険な場所であることをネレイスは身を持って体感したのであった。


~ヒゲキノセカイ 調査編に続く~


今後の予定……?


どうも、ラヴィスです。

相変わらずSS編書く気力がおきません……が、そんな中でも決まったことはあります。



SS編は残り3回で決定しました!



その3回は現在まるで進んでいない天界編とあと2回はそれぞれ魔界と精霊界編で調整を進めています。魔界編では新生魔界が誕生した初期のお話を、精霊界編ではネレイスのいない精霊界の日常をそれぞれ公開予定です。

それでは本日はこの辺で、また次回!


本日の小ネタ


ある日のライディングクエスト





先日ライディングクエストに行った際の1枚。場所はデイライドA区ですね。

ライディングクエストについてはあんまり詳しくはないのですが……とりあえずざっくり言えば11分の制限時間内にハイスコアを狙うクエストなのですが……なんかこんな記録が出てしまいました。

印象的には200万を超えれば立派なスコアで300万を超えれば凄いといえるような感じなのですが……さらにその上、400万を越えてくるとは正直びっくりです。多分当分この上を行くスコアは出ないと思います、はい。因みにこのタイミングでライディングクエストのハイスコアを競うアークスリーグなるイベントが行われていたのですが……まぁ当然のようにぶっちぎりの1位でした。

とりあえず今回の更新はこれでおしまい!また次回の更新で!


本日の更新内容


・用語集天界編  イーリス 



どうも、ラヴィスです。フィア編の路線変更が始まっているようでありちょっとイレギュラーな形の用語集追加をしてみました。フィア編での登場が決定した出不精聖女イーリスです。これによりフィア編が聖女編へと形を変えつつあることが伺えますよね……

ひとまず今回はこれで以上!路線変更をしてこれでもっと進んでいけばいいのですが……


夜勤早出前に……


どうも、ラヴィスです。

ここのとこ色々やっておきたいことが多すぎて更新にまでなかなか手が回らない状況が続いていました。今回もフィア編は終わりそうになかったので簡単な更新です、はい。

本当はPSO2でネタがあったのでそれを出そうとも思ったのですがそれもなかなか手が回らずに今回の更新では断念しました。もっとも先週の時点で出せたネタなので早いうちに片づけておきたいのも事実なんですよね……

とりあえず本日の更新はここまで、今週は早出するのが今日だけなのでそれを上手く利用して少しでも早く上げられるように頑張ろうと思います、はい。それではまた次回の更新で!


プロフィール

Author:ラヴィス
パソコン使えないくせにブログに手を出した愚か者。
……温かい目で見てもらえるとうれしいです。

毎週月曜に大小の違いはあれど更新中です。

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